4話 [最強天使]
神や天使は人間がなれる
と言っても、方法は簡単ではない
神にしたいのであれば神の、天使にしたいのであれば天使の血を人間の体に入れる事が出来れば神や天使になる事ができる
しかし、そこに発生する問題がいくつかある
まず一つは神や天使の血を手に入れなければならない、これは神、天使の協力を得るか、戦って手に入れるの二通りある
そして、二つ目は、神もしくは天使の血が体内に入っても耐えられる人間である事
基本的に体内に神、天使の血が入れば器が受け止めきれずに魔物となってしまうのが普通だが、特殊な器でその血に耐えられる者がいる
その者たちが聖人だ、神や天使の加護を受けて人間の上位に君臨する者たちが耐えられる
その聖人を天界に置く事により
神は人間を神、天使にする実験をいつでもできる様にした、
日本にいる聖人を集めたのが赤城都市だった
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「ここからはお前と俺の大事なお話だ」
王牙は真剣な表情でイトリを見つめた
「話…?なんの」
「昔話だ、俺が死神だのドラゴンだのを理解していなかったせいでシズクを殺してしまった、それは認めよう事実だ。その事で俺はなんども悔やみ苦しんだ」
「やめろ!嘘をつくな」
「俺はシズクの事が好きだった…だから後悔で苦しんだのは、事実だ。だから、俺は聖天界にいる奴らが許せない」
「聖天界…の奴ら?神様や天使様の事か…あの人達は正義だ。だから…」
「正義なんかじゃない、悪だ」
「ーーっ!」
「神は自分の都合のいい様に動き、それを天使はサポートする…自己中過ぎるだろ、自分の都合の悪い事は全て排除して、都合のいい者は捕まえて檻に閉じ込める。それが正義だと?ふざけんな」
「………悪のお前が言うか」
「あぁ、俺は悪だ、極悪だ。もしも、神や天使が正義ならばな」
「………」
真理亜は王牙を黙って見守っていた
すると頭上に巨大な影が現れ、白い発光体が一気に降ってきた
真理亜はその影に見覚えがあった
「これって、黙示録?」
「真理亜!逃げろ!」
王牙は会話を中断させて、真理亜の近くに落ちてこようとしていた発光体を王牙の手に突如現れたピストルで全て撃ち落とした。
「おやおや、誰かと思えば死神くんじゃないか、久しぶりだね、何しに来たんだ?」
「…帝鬼」
黙示録の上に立っていた白い服の少年は不気味で殺意のこもった笑みを浮かべた王牙に帝鬼と呼ばれた少年は、金髪に青い瞳、背中に純白の綺麗な翼を生やして聞くまでもなく天使だった
「久しぶりに会えたのは嬉しくもないけど、今は君ごときに構ってる暇はないんだ」
「てめぇ、龍神だな?何しに来た」
「ゼウスにそこの幼女を連れてくるように言われたんだよ、帝鬼が」
「イトリを…?」
王牙と帝鬼が何を言っているのはわからないが、帝鬼がイトリを狙っている事は理解できた
「じゃ、さようなら」
気がつくと気失ったイトリを帝鬼が乱暴に持ち上げていた
「待て!」
王牙の言葉とどちらが早かっただろうか
帝鬼とイトリは消えていた
「王牙、聞きたい事がいくつかあるんだけど」
「だろうな…わかった」
先程の廃墟に戻り、話を始めた
「イトリちゃんと戦ってた時の力は何なの?まるで別人みたいになってたけど…」
「龍化だ、体の一部分だけを俺の中にいる龍の姿に変える技だ」
「中にいる龍?中にいるってどう言う事?」
「神や天使は基本、ドラゴンと契約するんだ、それには条件が居るんだけど。うちの龍は俺の体の中に入る、まぁ、共同体って事かな?が条件の一つだったんだ」
「わかった。じゃあ、帝鬼って、誰?」
「帝鬼はゼウスの正義を信じる天使やら神やらがいる世界、聖天界にいる神と天使のハーフで、天使の中で最強の天使だ…いや、神天だ。この世界では神と天使の混血を神天と呼ぶんだ」
「神天…」
「俺はシズクを殺された後、力を求め、最強の龍と呼ばれてた、邪神龍ワールド・エンドと契約するためにワールド・エンドが囚われている聖天界へ向かったワールド・エンドは聖天界にある牢獄の地下に囚われていた。そこへ向かう時に戦ったんだ」
「さっきの力が、ワールド・エンドなの?」
「あぁ、一時的にワールド・エンドの力を借りる事が出来る、が、力が強すぎるから意識もワールド・エンドに持っていかれる形になるんだ」
「だから…」
「あぁ、聞きたい事は以上か?」
「いや、イトリちゃんを助けに行くの?」
「……それは」
その会話の中で初めて王牙が黙った
イトリが連れてかれたのは間違いなく聖天界だろう
「今までと違って聖天界にはトップ4が置かれている、俺だけの力じゃ勝てそうに無いってのが現実だ」
トップ4と呼ばれる天使がいる事でイトリ救出は困難なのだろう
トップ4の力は知らないけれど…
「うーん、誰とも戦わないってのは?出来ないの?」
「忍び込むって事か、いや、出来ない事は無い。多分」
「なら、それで行こうよ。戦わないで忍び込み、イトリちゃんを助ける、どう?」
「めんどくさいが仕方ないか、わかった。それでいこう」
「じゃ!作戦開始よ!」
「今から出発はしないぞ?」
「あれ?」
「明日の朝だ、聖天界ってくらいだ。結構遠いし」
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聖天使で、帝鬼の気分は最悪だった
「くそっ、王牙が居るなんて聞いてないぞ!」
「帝鬼が唯一負けた相手、だっけ?まぁ、今度は四対一だし、勝てない事も無いんじゃ無いの?まぁ、助けてあげなくもないわよ?」
炎の天使が言う
No.3 ラファエロ・フレイムだ
「それでも、王ちゃんのドラゴンはワールド・エンドだよ?ラファちゃん」
癒しの天使が言う
No.2 ラファエル・リーファだ
「リーファは、王牙とやらと戦いたくは無いのでなかったか?」
音の天使が言う
No.4 ガブリエル・シングだ
「奴は、神天と言うだけではなく、最強のドラゴンとまで、契約しやがってる。おれがあいつを倒す、この帝鬼が龍神の力を使って奴の首をとる…」
天使達が対王牙作戦を立て始めているのは、帝鬼が王牙のいたことにあまりに腹を立てていたからである
帝鬼だけが王牙と戦った事があった。故に王牙の強さは帝鬼だけが知っていた
戦いは明日に始まろうとしている