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第三話

奇妙な出会いから大分時間は流れ、Y・Hはその際に彼の名を『カエル紳士』と名付けた。カエル紳士は逞しく育ち、今ではバスケットボールサイズにまで成長? していた。Y・Hはカエル紳士が成長するにつれ、家の――主に家族が不審に思うのではないかと心配したが、杞憂だったらしい。何故ならカエル紳士は名前の通り紳士であり、普通のカエルの様にぴょんぴょん跳ねる事を好んでいるかは不明だが、分別構わず暴れるほどに粗野ではなかったのだ。


「紳士ちゃん、クレヨン買ってきたよ」


 新品のクレヨンが現れ、カエル紳士は嬉しそうにほほ笑んだ。いただけませんか? と丁寧に頼むようなジェスチャーをカエル紳士は行う。


Y・Hは太らせない程度に育てるつもりで、そして最近の自分はそれを完璧にこなせている気がした。普段の自分は、興奮したりするとすこし理性のブレーキをとことん外してしまう悪癖を持ってはいたが、不思議な事に、このカエル紳士の前ではどうにも心が静まり、穏やかな気分になれるのだ。


「紳士ちゃん、最近の私は、いつも心が清らかなの」


 クレヨンを食していたカエル紳士は、レディーの言葉を無視できないらしく、食事を中断した。


「今度部活の発表があるんだけどね、私、全然怖くないの。いっつも緊張して、ミスばっかりのダメダメな私なのに……」


 Y・Hはカエル紳士の頭を撫でた。

 「紳士ちゃんのお陰だよ。ありがとう」

カエル紳士はほほ笑んだ。

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