表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
チョコレートを食べながら  作者: 藍沢凪
89/250

アリーの道 ※未完

お題:昼の勇者 制限時間:30分 文字数:799字


真っ昼間から公園のベンチに座ってぼーっと空を見上げていると、私ってば何してんだろなーなんて急に全てがバカバカしくなってくる。鞄から地図を取り出してベンチに寝転がり、王都への道のりを確認する。


幼い頃に両親が事故で亡くなり、私は叔母のユエさんに引き取られた。ユエさんは村でも有名な働き者で、女手ひとつで私を育ててくれた。しかし、ユエさんは病に犯された。効果的な薬はなく、空気の綺麗な田舎で療養することが決まった。ユエさんは一緒においでと言ってくれたが、私は田舎の親戚に嫌われていることを知っていたし、ユエさんにこれ以上迷惑をかけられないと思ったので、一人で暮らしていくと告げた。ユエさんは最初こそ反対だったが王都でバイトをしながら生活していくつもりであること、住む場所の見当はつけていることを告げると最終的には受け入れてくれた。


その日から二人で暮らしてきた小さな家の荷物を整理し、大きな荷物は馬車で頼み、必要最低限の荷物だけ持ったユエさんを駅まで見送った。

「体には気を付けて」

「ユエさんも、田舎でゆっくりして、早く元気になってね」

「落ち着いたら手紙を寄越してよ」

「ええ、もちろん」

「アリー」

涙目のユエさんが私をぎゅっと抱きしめた。ハキハキとしてあまり感情的にはならないユエさんには珍しいことで戸惑ったけれど、私もぎゅっと抱きしめた。ユエさんは姿が見えなくなるまでずっと汽車の窓から手を振ってくれていた。


帰り道、なんとなく公園によってベンチに座った。

そして、頭を抱えた。これからどうしようと。

バイトも住む場所も決まっていない。全てはユエさんを送り出すための嘘だったのだ。家は明日には引きはらわなければならない。つまり、明日の夜からは寝る場所を探さなければ必然的に野宿だ。

地図を見ると、王都までの距離は数十kmあるようだ。仮に馬車に乗ったとしても一日ではたどり着けないだろう。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ