ロイヤルミルクティー ※未完
お題:闇の風邪 制限時間:15分 文字数:522字
毛先が傷んでいるのが気になって、指で髪をくるくると弄る。大好きなピンク色に染めたのはいいけど、また美容院に行かなきゃ。
「話聞いてんのかよ」
苛立ったように矢島が口にした。聞いてるよー、それで?と適当に話を促す。すると矢島は水を得た魚のように話し出した。彼女の自慢と愚痴だけの、空っぽな話は適当に相槌しておくに限る。
奢りのロイヤルミルクティーをすすって、今日はいい天気なんだからこうやってお茶するよりも町をぶらぶらしたいななんて思う。言葉にはしないけど。
「そういやお前は最近どうなの」
やっと彼女自慢が終わったかと思ったら話題はそれかよ。溜め息をぐっと堪えて、別れたとだけ告げる。コーヒーを飲んでいた矢島は驚いてむせた。
「はあ?マジ?だって、付き合い始めたの先月とかじゃなかった?」
「うん。なんかねー、色々あったんだよ」
「そっか、それで今日元気ない感じ?」
それは目の前のあんたのせいですが。なんて言える訳もなく、そう、そんな感じと合わせておく。
忘れるための慰めの恋愛はダメだった。 彼と一緒にいても、つい矢島を重ねてしまった。最初は円満な交際だったけど最後には喧嘩の絶えない二人になっていて、告白した私から彼を振った。




