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狼の棲む森で
お題:死にかけの狼 制限時間:15分 文字数:365字
村の男山たちは猟銃片手に山へ入って兎や狐を捕ってくる。女たちは家事をするか畑をするか山菜を採りにいくかだ。私は山で山菜を摘むのが好きだったから、森にある湖より奧へは行かないことを条件に一人での山菜採りを許してもらえた。
今日はなかなかに得物が見当たらず湖の近くまでやっとワラビを見つけられた。夢中になって山菜を採っているといつの間にか日が傾いていたので急いで山を降りはじめた。
村まであと数分という辺りの道に1匹の狼が目を閉じて臥せっていた。私は籠をぎゅっと握り、身を固くして狼を見た。しかし、狼は荒々しく呼吸をしている割に動かない。よくよく観察すると狼の腹の辺りに噛みつかれたような跡があり、血で濡れていた。
村では狼は山の守り神として大切にされている。手当てをしようにも道具はない。狼狽える私をよそに狼がゆっくりと目を開いた。




