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鯨 ※未完
お題:昼間の絵描き 制限時間:15分 文字数:269字
僕は美術室でひとり黙々とキャンバスに色を重ねていた。描いているのは夜空を泳ぐ鯨。それはずいぶん前に夢で見た光景だった。深い青色の鯨が、色とりどりに輝く星の合間をゆったりと泳ぐ。僕はそれをどこからともなく眺めていて、鯨が羨ましいと思った。
キャンバスに向けて前屈みに座っているとどうしても首や肩や腰といった体のあちこちが痛くなる。描きはじめて1時間、僕は筆とパレットを置いて、大きく伸びをした。首のあたりがポキッと小気味良く鳴る。そのまま腕や肩を回していると、ふと壁際に置かれたキャンバスに目がいった。ペンギンの横顔が黒一色で描かれている。




