red ※未完
お題:頭の中の動揺 制限時間:1時間 文字数:872字
悲鳴を聞きつけた俺たちがリビングへ駆けつけたときには既に全てが終わっていた。
部屋の中央にはスーツ姿の人物がうつ伏せに倒れており、その近くには全身が真っ赤に染まった山上が立っていた。
「ち、違う。俺じゃない。俺がやったんじゃない!!」
山上は赤く濡れたナイフを落とした。血まみれの両手がガタガタと震えている。真っ白いシャツと濃い色のジーパンはペンキをぶちまけたように赤く染まっていた。
「菅野!」
山上の足元にはスーツ姿の菅野がうつ伏せに倒れていた。微動だにしない菅野は腹の辺りが真っ赤に染まっており、絨毯には血だまりができている。
山上はガクガクと膝を震わせて後退ったが、足がもつれて尻餅をついた。それでも息っかい荒く壁際まで後退る。
樫木が菅野の元へ駆け寄った。首に手を当て数秒。樫木は首を横に振った。そんな…と俺の隣にいた佐伯が膝から崩れ落ちる。俺は慌てて彼女の体を支えた。ごめんと佐伯が呟く。
「山上、お前、どうして」
樫木が山上を睨むと山上は目に見えてうろたえた。
「ちちち違う樫木!俺じゃない!俺じゃないんだよ!信じてくれ!」
「信じろって言われても」
「この状況を見て信じろなんてよく言えるわね!この人殺し!」
樫木の言葉を遮って安曇が叫んだ。
「あ、あんたが菅野さんを殺したんでしょ!そのナイフと返り血が何よりの証拠じゃない!」
「おい、落ち着けよ理恵子」
手嶋が宥めようとしたが逆効果だったらしく、何言ってるの手嶋?!と安曇は荒々しく噛みつく。
「落ち着け?!菅野が死んでるのよ!落ち着けるわけないじゃない!!これだけ目撃者がいて、言い逃れしようなんて、山上くん…最低よ…」
感情が高ぶって最後は涙声になり、安曇は泣き出した。山上は安曇の勢いに押されたのか、何かを言おうとして、しかし口をつぐんだ。みんなが静かに山上を見つめる。
「救急車…警察…」
沈黙の中、佐伯がぽつりと呟き、ハッと我に返る。
「俺が呼ぶ。みんなはここにいてくれ。この部屋から出るなよ」
樫木が立ち上がって部屋を出ていった。




