金曜日はカレー
お題:来年のむきだし 制限時間:15分 文字数:502字
「あれ、もう来年のカレンダー貼ってるの?」
「そう。先の予定とか書きたいから」
今年の12月のカレンダーと来年の1月のカレンダーが並んでいる。彼女は手帳を持たない人で、カレンダーには予定が全て書き込まれている。今月は始まったばかりだと言うのに、仕事や遊びで文字が色分けされたカレンダーはカラフルだ。それに比べると来年のカレンダーはまだまだ白い部分が多い。今日の欄には僕の名前だけが書かれている。同性の友人と遊ぶ予定にはハートマークが書かれているのに僕には書かれていなくてちょっとだけ寂しい。
「ちょっとー」
「はいはい」
彼女に呼ばれ、キッチンへ向かう。彼女は鍋をかきまわしていた。たっぷりのカレーから湯気が立ち上っている。
「味見てくれる?」
「いいよ」
彼女がスプーンで一口すくったカレーを食べる。どう?と不安そうに聞く彼女に丁度いいよと答えたた嬉しそうに笑った。
「お皿出してくれる?」
「これでいい?」
「うん」
お皿を受け取った彼女がご飯をよそい、カレーを盛り付ける。僕がテーブルに運んで座ると、彼女もエプロンを外して向かいに座った。2人で手を合わせる。
「「いただきます」」




