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夕暮れどきに
お題:彼女の船 制限時間:15分 文字数:407字
彼女と二人、河原に座って話していると、彼女がふいに近くの雑草を何枚か抜いた。そのまま草に切り込みをいれたり丸めたりする。
「何作ってんの?」
「できた」
そう言って彼女が広げた手には草でできた小さな舟があった。
「舟」
「すげえ」
「小学生の頃とか作らなかった?」
「全然。外では遊んでたけどサッカーとか野球ばっかやってた」
「その頃からスポーツ少年だったんだ」
彼女が立ち上がって川に近づく。俺も彼女の後をついていく。水辺でしゃがみこんだ彼女は小さな舟をそっと水面に放した。最初、舟はふらふらと左右に揺れていたが、やがてゆっくりと流れにのって川を下っていく。二人で姿が見えなくなるまで舟を見送る。
「どこまで行けるかな」
「途中で引っ掛からなければ…海?」
「昔は無条件で海まで行けると思ってたけどね。まあ、行けるところまで行けたらいいよね」
彼女が振り返る。笑っていた。
「帰ろ」
「おう」




