王様と少年 ※未完
お題:複雑な独裁者 制限時間:15分 文字数:487字
「しかし、それはいくらなんでも…」
「お前は私の言うことが聞けないのか!」
「も、申し訳ありません。仰るように進めさせていただきます」
ヘイル様に怒鳴り付けられた伝令の兵は慌ただしく部屋を出ていった。それを見送ったヘイル様は大きな溜め息をついてバタッと机に伏せった。
「ああー、またやっちゃった!」
先程の威厳はどこへやら、頭を抱えてわたわたと落ち着きがない。近くに控える私にとっては見慣れた姿だが、他の兵士たちが見るとひっくり返ってしまうだろう。ヘイル様は齢16歳にして一国を治める王という立場にいる。議会の年寄り連中や貴族と対等に渡るには前王のような何にも揺るがぬ強さが必要で普段は堂々としている。しかし、ひと度政治を離れてしまえばまだ16歳の少年。どうしよう、ラン?と私を見るその目にはうっすら涙が滲んでいる。
「勢いであんなこと言っちゃった。僕としては議会の言い分もわかるけど、兵士たちはきっと僕の期待にも応えられる力があると思っているんだよ。そう伝える前に怒鳴りつけちゃった!」
「大丈夫ですよ、ヘイル様。ヘイル様の気持ちはきっと皆に伝わっています」




