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チョコレートを食べながら  作者: 藍沢凪
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ある雪の日の ※未完

お題:10のつるつる 制限時間:1時間 文字数:1719字


昨日は朝から珍しくも雪がちらちらと降っていて、一年に数回雪が降ればいいような街にも時間をかけて少しずつ積もっていった。夜になると雪は止んだけれど、気温は横ばいのままで積もった雪が溶けそうにないほど冷え込んだ。

翌朝起きてみたら、家の屋根や木々の葉にもまだ雪が残っていて、ニュースでは路面凍結に注意しましょうとアナウンサーが喋っていた。

土曜日の朝。学校は休みなので本来なら家でゆっくりしている午前七時、私はひっそりと家を出た。普段は灰色のコンクリートの地面も白く覆われ、自転車や人の足跡で細い溝のような道が出来ていた。

雪道に慣れていないため、うっかり転んでしまわないよう慎重に歩いていると普段は使わないような余計な神経を使ってしまって妙に疲れる。吐き出した息が白い。今日も日中はあまり気温は上がらないらしく、マフラーではとても隠しきれないむき出しの頬や耳が痛い。人通りの少ない道ではブーツがさくさくと雪を踏みしめる音がやけに響く。


家から歩いて約十五分のところにある公園はブランコと滑り台と古ぼけたベンチしかない。背の低い植え込みが公園を囲っており、待ち合わせ相手の姿がまだないことは一目でわかる。

公園の入り口で立ち止まって、コートの右ポケットに入れていたスマホを取り出し時間を確認すると、予定の時刻よりも数分早く着いていた。はあ、と息を吐いてポケットにスマホをしまい、公園の脇にある自販機に向かう。

左ポケットから三折り財布を取り出して百二十円を投入し、あったかい缶コーヒーのボタンを押す。取り出し口から受け取った缶は思っていたよりも熱々で、お手玉のように弄ぶ。


「えっちゃん、おはよー」


まったりした声が私を呼んだので振り向いた。


「おはよう、くるるん」


現れたくるるんはダウンのコートとマフラーだけじゃなく、頭にニット帽を被っていて、ふらふらと振っている手には手袋をはめていた。


「私もなんか買おうかなー。今日も超寒いよねー」

「だね。でも、今日は雪降らないらしいよ」

「雪は勘弁してほしいよ。外階段降りる時に転びそうになったし」


くるるんは私の手の中にある缶コーヒーを一瞥すると、サコッシュからがま口財布を出した。少し迷って小さなペットボトルのホットレモネードを買うと、くるるんはほっぺにぴたりとボトルをくっつけた。私はようやく缶の熱さに慣れて両手でぎゅっと握りしめた。


「こっちだよね」

「うん」


二人並んで朝日が眩しい町を目的地に向けてややのんびりと歩く。くるるんもまた私と同じように足元に気を付けていたけれど、目的地へ到着するまでに一度足を滑らせて危うく転びかけた。

公園からさらに歩いて約十分、何の変哲もない一軒家の前で私たちは足を止めた。

玄関前は足跡のついていない真っ白な雪だけがあり、一階のリビングはまだグリーンのカーテンが閉じられていた。


「サエコさん、起きてるのかな?」

「うーん、外からじゃわかんないね」


くるるんがインターホンを押す。数十秒待ってみても応答がないので、くるるんがもう一度押す。


「こりゃダメかな」

「寝てるかもね」


くるるんが再度インターホンを鳴らし、私がスマホを取り出して電話をかけようとしたところで「はいー」と応答があった。やけに間延びしていかにも今起きたばかりと言いたげな声は間違いなくサエコさんのものだった。


「おはようございます。来島と江南です」

「あー、くるるんとえっちゃん、今日だっけ。ちょっと待って、今開けるから」


ぷつりとインターホンが切れる。

それから数分後、鍵の開く音がして扉が開いた。


「さっむ。…おはよう、二人とも」


サエコさんは髪に寝癖をつけて、パジャマにカーディガンを羽織っただけの姿で私たちを出迎えた。おはようございます、お邪魔しますと言って玄関に入り鍵を閉めると寒さがずいぶん和らいだ。


「ごめんねー、二人とも。今起きたばっかりだからリビングで適当に待ってて」

「はーい」


言われなくても勝手知ったるサエコさんの家だ。サエコさんは洗面所に消え、私とくるるんは防寒具を脱ぎ、リビングのソファに座った。テレビのリモコンで


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