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チョコレートを食べながら  作者: 藍沢凪
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ミズキ

お題:フォロワーの時雨 制限時間:30分 文字数:862字


100均でミズキと買ったビーチサンダルは走る度にぺたぺたと情けない音を立てた。肩から提げたショルダーバッグは腰の辺りで軽く跳ね続け、ミズキが手作りしてくれたストラップもあわせて跳ねていた。

僕はたしかにコンクリートの地面を蹴って風を切り、前進しているはずなのに、何故だか泥の中を描けているようだった。

パーカーのポケットに放り込んでいたスマホから不意に着信音が鳴り響き、僕は足を止め、少し息を整えてから電話に出た。

通話相手はキョーコ。


「もしもし?」


僕はすっかり息が切れ、口の中が渇いていた。

キョーコは「息切れてるけど大丈夫?」と尋ねながらも、僕の返答を待たず用件を告げた。


「あのね、ソウタがミズキを見つけたよ」


はああ、と大きく息をつき、思わずその場にしゃがみこんだ。

帰ってみたらミズキが急にいなくなっていたものだから、僕もキョーコもソウタも慌ててあの家を飛び出したわけだ。

まだ幼いミズキが一人で出かけて傷を増やしたり頃事故や事件にあっていたらどうしようかと気が気じゃなかった。


「そりゃ良かった。ミズキ、どこにいたの?」


キョーコが教えてくれたのは家から歩いて10分ほどのところにある大きな公園だった。一人でブランコに座ってぼんやりしているのをたまたま発見したらしい。

ソウタがミズキを連れて帰って来てくれると言うので、僕も家へとまっすぐ帰ることにした。


僕とキョーコが家に帰って来て数分後、ソウタとミズキも帰って来た。ソウタはやや疲れた様子だったが、ミズキは全くのいつも通りだ。


「ミズキ、何で急に出ていったの?」


キョーコが問いかけてもミズキは無言だった。

おかしい。

「答えられない」とか「話したくない」とか答えることも可能なのにミズキはだんまりだった。

代わりにソウタが「ダメだよ」と首を振った。


「近所の子どもにボールでもぶつけられたのかな。頭の部分が凹んでる」


ソウタの差し示した金属でできている頭部は直径五センチほどの丸い凹みがあった。


「メンテナンスしなきゃだね」


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