表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
チョコレートを食べながら  作者: 藍沢凪
188/250

レベッカの涙 ※未完

お題:恋の女 制限時間:30分 文字数:883字


世界に魔法がある限り、世界に奇跡は降り注ぎ、世界に涙が溢れるのです。

それが喜びの涙か悲しみの涙かは、魔法を持ち、魔法を使う者に委ねられています。

魔法を持たぬ人々は、魔法に苛まれ、虐げられ、死んでゆく弱い生き物としてしか生きられません。

なれば、魔法を持つ私たちは、魔法を持たぬ脆弱な人々のために魔法を使いましょう。

決して驕ってはなりません。

決して自惚れてはなりません。

決して自己満足してはなりません。

この世界に私たち魔女が生まれた理由は、悲しみに沈んでしまった世界を変えるためです。

すべては悩み苦しむ人々のために、魔法を使いましょう。


「この世界にいる魔女すべての偉大なる母、レベッカ様はそう仰られました。あなたたちはまだ魔女見習いですが、既に魔法を使う身となった以上、魔法を使うときはレベッカ様のお言葉を思いだし、誰かのために使うのですよ。決して私利私欲に使ってはなりませんからね」


「よろしいですか?」と尋ねたアラベスク先生に、私と他の魔女見習いは声を揃えて「はい!」と答えた。

ちょうどその時、講堂にチャイムが鳴った。

小さなベルが何重にも重なったような独特の響きが、講堂の高い天井から降り注ぐように響き渡る。

アラベスク先生は手にしていた分厚い魔法書を閉じて、私たちの顔を見回す。

チャイムが鳴り終わると、先生はそこで初めてキリッとつり上がった目と口元を緩ませた。


「堅苦しい挨拶はこれでおしまいです。皆さんようこそ、レベッカ魔法学院へ。私たちは今日から同じ学舎で過ごす者同士です。思いやりと感謝の心を忘れず、有意義な時間を過ごしてくださいね」


「はい!」と私たちが頷くと、アラベスク先生は満足そうに頷き、右手の人指し指をちょんと突くように軽く振った。

すると、私たちの背後にある講堂の扉が大きな音を立てて開いた。


「これから校内を案内します。着いてきなさい」


アラベスク先生が先陣を切って扉の方へ歩いていき、私たち魔女見習いは慌てて先生の背中を追った。


レベッカ魔法学院の校内は、至って平凡な校舎の外観に見合わず、とても広い。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ