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チョコレートを食べながら  作者: 藍沢凪
187/250

知らないアルパカと知っている猫 ※未完

お題:アルパカの悪役 制限時間:15分 文字数:812字


「機械と話すことには未だに慣れないな」


カタカタと音を鳴らしてキーボードを打ち、最後にエンターキーを押した。

少し間を置いて、画面に新しいメッセージがぽんと浮き上がるように現れる。

私が打ち込んだものとは違う丁寧な文章が返ってくる。


「私は決して機械とではなく、カワセミさんと話しているつもりですが、カワセミさんは違うのでしょうか?」


傍らに置いたコーヒーを一口飲んで、再びキーボードに指を滑らせる。


「いや、私もアルパカさんと話しているつもりなんだけど…」


考えながら文字を入力していると、会話のペースは落ちてしまう。

できる限り、ありのままの気持ちを伝えるしかない。


「実際にアルパカさんと顔を合わせて話しているわけじゃない。声を聞いてるわけじゃない」


どう説明したものかと考えていると「ええと、」とアルパカさんのメッセージが上がる。

立て続けに新しいメッセージが更新される。


「私がカワセミさんに生のものを届けていないからですか?」


生のもの。

確かに、私はこの画面の向こうにいる、アルパカさんのことを何も知らない。

年は私と近いらしいが、性別も声も見た目も知らない。

そしてアルパカさんも私、カワセミのことをほとんど知らない。

例えば、今私が話しているアルパカさんが人間ではなく、人工知能だと言われてしまっても否定できないぐらいには、私はアルパカさんに人間味を感じていない。

人間味。


「そうだね。人間味がないんだ、アルパカさんに」


そう打ち終えてから、これは失礼だったと思いたって慌ててメッセージを付け足す。


「別にアルパカさんが冷たいって言ってるんじゃないよ!」


「わかってますよ」とアルパカさんは猫が笑っているスタンプを添えて答えてくれた。

そういえば、アルパカさんはアルパカなんてハンドルネームを使っている割に猫が好きだな。

ときどきメッセージに添えられるスタンプは全て猫だ。


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