陽炎の先 ※未完
お題:フハハハハ!それは夏 制限時間:15分 文字数:542字
「あつい…」
歩きながらシャツの首もとを引っ張り、体にパタパタと風を送っていたが、それもほとんど意味をなさない。
八月の太陽は暴力的な照りつけで、地面からの照り返しもきつく、金網の上に横たえられたカルビの気分になってくる。
じっとしていたら、こんがり焼けてしまう。
キャップを被り、Tシャツ一枚と短パン、ビーサンというもうこれ以上涼しい格好は水着しか残されていない格好で、俺は炎天下の道をだらだら歩いている。
額から滝のように吹き出してくる汗を拭うのも諦め、鞄に入れてすっかりぬるくなったスポーツドリンクを飲む。
「なあ、まだ着かねえの?」
ペットボトルのキャップをしめながら、俺の数歩前を歩く、疲れた様子を少しも見せないチアキに問いかけた。
小さな手書きの地図を見ていただろうチアキは振り返り、へばっている俺を見ると呆れた溜め息をついた。
「ミサキ、体力無いねぇ。さっきからそればっかり。もっと面白い話できないの?」
「ねーよ、そんな話」
つまんないな、と口を尖らせたチアキはしかし、目的地はもうすぐだよ、とやっと希望の言葉を告げた。
「にしても、何で俺とお前が駆り出されたんだ」
「ええ?そりゃ、委員長と副委員長だからでしょ。それ以外に理由ある?」
「いや、ないけど」




