カエルのうた ※未完
お題:鋭い宗教 制限時間:15分 文字数:603字
明日世界が終わるなら何をするか。
そんな永遠には来ないだろうもしもの日を子どもの頃に何度もカオルくんと考えた。
あの時のカオルくんは私より少し背が高くて、痩せていて、いつも紺色のショルダーバッグを持っていた。
私の家が学校からいちばん遠いせいもあって、家に程近い丘へはクラスメイトも誰も来なかったから私たち二人の秘密の遊び場所になっていた。
私は辺りの草花をむしって花かんむりを作りながら、カオルくんはバッタや蛙などの虫を捕まえたりしながら他愛もないことをたくさん話した。
学校が終わってから日が暮れるまで私たちは喋りとおしたのに、今となってはカオルくんと話したことのほとんどを忘れてしまっているし、覚えていても仕方ないことだったんだろう。
しかし、今も頭に残っているのは明日世界が終わるなら何をするか、という仮定の話。
私はシロツメクサの茎を捻りながら小学生らしく、「美味しいものをお腹いっぱい食べたい」とか「家族と一緒にいたい」とかそういうことを言った。
隣で指先に小さな雨蛙を乗せたカオルくんは「そういうの、素敵だと思うよ」と言った。
私はカオルくんに、同級生たちとは少し違う価値観を持って大人びていたカオルくんに同意してもらえたのが嬉しかったけれど、カオルくんは続けて言った。
「ぼくは、たぶん、何もしない」
「どうして?」と尋ねると、カオルくんは指先に乗っていた蛙を近くの草の上へそっと下ろした。




