水と油 ※未完
お題:わたしの嫌いな母性 制限時間:15分 文字数:555字
「もう何を言ったって、何をしたって通じない人っているじゃない?ああ、この人とわたしは根本的に考え方や価値観が違うんだな。言葉と心を尽くして説明しても理解してもらえないし、理解されないんだなって」
わたしにとってはそれが母だっただけ、と彼女は素っ気なく言って、君にとっての新島くんだね、とも付け加えた。
確かに僕は新島と仲良くないし反発しあっているけれど、彼女が母を嫌うようには僕は新島を嫌ってはいなかったし、たぶん新島もそうだった。
しかし、僕は否定する代わりに冷たい烏龍茶を一口飲んだ。
彼女はカシスオレンジに入っている氷を人指し指でつるりと撫でた。
「わたしと母はまさしく水と油。混ざりそうだからって必死に混ぜても元の性質が違うから、一生混ざらない。そんな感じね」
諦めてるのよ、と呟く。
僕にはその気持ちはわからなかった。
家族を諦めるって何だろう。
諦めようと諦めまいと家族は家族で、切っても切り離せないものだ。
そんな考えを口には出さなかったけれど表情には出ていたらしく、僕の顔を見つめる彼女の表情は険しくなっていた。
「家族もね、他人よ」
彼女はカシスオレンジのグラスを持ったけれど口はつけず、氷を回すようにグラスをゆらゆらと傾けるだけだった。
「あの人とわたし、血の繋がりもないしね」




