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チョコレートを食べながら  作者: 藍沢凪
172/250

緑の海 ※未完

お題:昔の祖父 制限時間:15分 文字数:640字


小学六年生の夏休み、俺は親の元を離れて一人で田舎のじいちゃんとばあちゃんちに預けられた。

どうして俺が一人で預けられたのか当時は知らなかったけれど、今は知っている。

両親も若くて、色んな苦労が重なって、耐えきれなくなってしまっただけなのだ。

それを今更否定するつもりはない。


ともかく、その当時、俺にとってじいちゃんとばあちゃんは夏休みや冬休みにほんの数日顔を合わせるだけの人で、あまり積極的に話した覚えがなかった。

俺は人見知りだったし、聞き取りにくい方言が余計に高い壁となっていた。


「よう来たなぁ」


青いリュックを背負って、重たい旅行鞄を両手で持ち、黄色いキャップを被った俺を駅で出迎えてくれたのは如何にも農作業途中のじいちゃんだった。

俺と同じようにキャップを被り、首に白いタオルをかけて、額に浮かぶ汗をぐいと拭った。

じいちゃんは俺からひょいと荷物を取り上げると、こっちだと言って歩きだした。

じいちゃんは軽トラで迎えにきてくれていて、俺は軽トラの助手席に乗るのは初めてだった。

駅前の通りを過ぎれば、あっという間に田園風景が広がる。

緑の稲の波はどこまでも遠くに広がっていた。


「電車は迷わんかったか?」

「うん。お父さんが教えてくれたから」


じいちゃんちまで車で10分ぐらいの道のりだったけれど、交わした会話は信号待ちでのそれだけだった。

俺の記憶にある限り、じいちゃんは寡黙な人だったのだが、後で父さんや母さんやばあちゃんに聞いてもみんなが首を振った。


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