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チョコレートを食べながら  作者: 藍沢凪
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白い火

お題:白い火 制限時間:15分 文字数:617字


白い火が揺れていた。

火が温度の違いで赤、黄、緑、青など様々な色に変化するのは知っているけれど、果たして白い火は初めて見たと思う。

それが例えばバーナーのように温度調節できるもので生まれているならともかく、白い火は同じように白いロウソクの上で燃えていた。

そんなロウソクが私の足元に何十本、何百本、私の視界で見える限りに置かれていた。

だから私がいる真っ暗な室内は白い火のおかげでぼうっと白く明るかった。

大量なロウソクがある密室の割には少しの息苦しさも感じないし、熱さも感じない。

不意に、火が一斉に揺らめく。


「トクベツな場所なんだよ」


声の主は私の後ろから歩いてきて、何をするでもなく突っ立っていた私を追い越し、正面に立った。

白い髪、白い肌、白い服。

足元のロウソクを体現したような少年は、しかしその目と口が炎のように赤かった。

ゴウゴウと燃え盛る音が聞こえるようだ。


「トクベツな場所」


オウム返しで呟くと、少年はそうと頷いて足元のロウソクを1つ手に取る。

少年の手の中で燃えているロウソクは不思議とロウが垂れておらず、精巧にできた照明のようだったけれど、火の揺めきはやはり本物のそれだった。


「この火は消えない。何故って燃えていないから」

「燃えているように見えるけれど」

「見えるだけ。ただの光。触ってごらんよ、熱くないから」


ずいとロウソクを差し出されたが、遠慮しとくと断った。

少年はおかしそうに笑った。



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