表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
チョコレートを食べながら  作者: 藍沢凪
166/250

ミリオンクリア

お題:絵描きのカラス 制限時間:15分 文字数:507字


「朽ちていく…そんな…」


絶望した彼の声だけが室内に響いた。

煎じて飲めば不老不死になれるというその奇妙キテレツな植物は、僕たちの目の前であっという間に生気を失って枯れた。

穏やかな風が吹くと細かな灰になり、空気中へと散っていく。

愚かだね、と誰が呟いたのだろう。

消えていくその植物を掴もうとした彼の手は、むなしくも空を切り、やがてだらりと脱力した。


「さて、帰りますか」


リオンの言葉にそれぞれが曖昧に頷いて、彼に背を向けたとき、ぽそりと彼が呟いた。


「惜しくないのか?」


何が?と振り返って尋ねたら、偶然にも視線のあった彼の緑色の目が濁って見えた。


「不老不死だ。死なないんだ。年を取らないんだ。いつまでも好きなことができるんだ」


何故わからない!何故理解できない!

声高に叫んだ彼は切羽詰まっていたけれど、僕にはただもう煩わしくて、殴り付けてしまおうと拳を握ったらミドリが鼻で笑った。


「知りたくもないね。別れしかない人生なんて」

「どういう、ことだ」

「自分で考えたら?少なくともあんたの好きなことがだっていつか終わりが来る」


それだけのことさ、と彼女はポケットに手を入れたまま言った。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ