邂逅
お題:来年のサイト 制限時間:15分 文字数:534字
目眩がして、立ち止まった。
隣を歩いていたライラは数歩先で振り返り、頭を抱える僕にどうしたの?と駆け寄ってきた。
「何でもない。ちょっと目眩がしただけ」
「ちょっと休む?」
「いや、いい。先へ進まなきゃ」
もう猶予はない。
世界を終わらせる鐘が鳴り響いたのだ。
ライラだって僕だって満身創痍だけれど、重たい足を少しでも前へ運ばなければ、世界は手遅れになってしまう。
魔王の間へ至るまでに数多くの敵と戦い、蹴散らしてきたため、僕らはボロボロだった。
回復薬はあと2つ。
それは魔王と戦う直前まで温存しておきたかった。
真っ赤な絨毯が敷かれた廊下は永遠に続くようにも思われたけれど、存外早く扉を現した。
金色の装飾が施された重たそうな扉の前で、僕は鞄から回復薬を2つ取りだし、ひとつをライラに渡した。
小さな瓶で乾杯し、一息に飲む。
体の奥が燃えるように熱くなり、やがて手や足の指先にまでエネルギーがみなぎっていくのを感じる。
「行こう、ライラ」
「行こう、サイト」
僕らは同時に言って目を合わせ、扉のドアノブを回してめいっぱい強く開けた。
「よく来たな、勇者よ」
正面の玉座に座っていたのは、魔王、のはずだった。
ただし、それは僕と全く同じ顔をしていた。




