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チョコレートを食べながら  作者: 藍沢凪
161/250

ホワイト&ホワイト ※未完

お題:許せない階段 制限時間:15分 文字数:575字


階段をのぼると、ハクちゃんは僕に二段ほど遅れて後をついてきた。

口では何だかんだ言いつつも僕の後をついてきてくれる良い子なのだ。

だから、全身から気だるげな空気を臆すことなく垂れ流し、はあと大きく息をつこうとも僕は気にしない。

二階なら三階にあがり、校舎の端である三年F組を目指す間、ハクちゃんは僕の隣に並んで、自身のおかっぱの髪を触っていた。


「やっぱり現実世界で白髪にするのはちょっと気が引けるっすよねー」


ハクちゃんは厚底ブーツの足音を大きく鳴らす合間に言った。


「ハクちゃんはどこまで白くなるつもりなんだ」

「さあ。どんなに頑張っても人間は完全な白になれないんすよ?」


私のやってることは全部無駄なんっす。

虚ろな目で自分の髪を見つめたまま、彼女はそう言った。

僕が彼女を本名ではない“ハクちゃん”と呼ぶのは彼女が“白色”を好んでいるからに他ならない。

インドア引きこもりなハクちゃんの日焼けしていない肌と、上はカチューシャから下は靴に靴下まで、徹底して白い服に身を包んでいるから姿はほとんど病的な見た目をしている。

彼女の中で白くないのは黒い髪と同じ色の目と薄い桃色の唇だけだ。

シロちゃんと呼ぼうとして、犬猫みたいだから止めてほしいっすと言われたので、白を音読みしてハクちゃん。


「でも、無駄なことをしてる方が人間らしいっすよ」


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