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冷たい部屋の君 ※未完
お題:トカゲの粉雪 制限時間:15分 文字数:358字
室内は真っ暗だった。
明るい場所が苦手だとは言っていたけれど、リビングはカーテンの向こうから入ってくる街の灯りのみだ。
よくよく見ると部屋は物が少なく生活感が感じられなかった。暖房器具すら無い。そりゃあ体調も崩すだろう。
それでも、殺風景な部屋は粉雪の舞う外よりかは風が防げるだけ幾分マシだった。
寝室に入るとベッドに目的の人物がいた。起きている。
「私まで病気になりそうな部屋」
「もっともだね。早く立ち去るべきだ」
コートを脱ぎながら言うと彼が笑った。
コンビニで買ってきたものを袋ごと渡す。
市販の薬とスポーツドリンク、レトルトのお粥とうどん。
ありがとうなんて言葉をこの男から聞いたのはずいぶん久しぶりだった。
体調が良くないのは本当らしい。
「あんたが殊勝だと調子狂うわ」
「そりゃあ毒されてるね」




