125/250
カシスオレンジの憂鬱 ※未完
お題:難しいコメディ 制限時間:15分 文字数:452字
「に~いさ~ん、ちょっと聞いてよ~」
情けない声を出した彼女はカシオレのグラスをぐるぐると回し、浮かんでいる氷をカランカランと鳴らした。
3杯目のカシオレは普段よりも早かった。
アルコールに弱い彼女は紛れもなく酔っている。
まあ、それぐらいしないと彼女は本音を話せないのだから無理もない。
「はいはい、何ですか」
つまみのチーズを口に入れる。
彼女もつられてチーズに手を伸ばす。
「ま~た、振られちゃったのよ~」
「そりゃあ、残念だったね。何だっけ、喫茶店のバイトくんだっけ」
「そう、そいつ!」
ぐいっとカシオレを飲む。
先週までは喫茶店の彼だとか、イクメンバイトだとか呼んでいたのに、もうそいつ呼ばわりか。
「彼女いたんだよ~。写メ見せてもらったけど、めっちゃかわいい子!もちろんアタシより年下だしさあ。まあ、他にもいいなって思う人がいたからダメージ小さかったけど」
傷つくもんは傷つくよね、と。
彼女の転身ぶりは相変わらず見事だけれど、それに毎回付き合わされる僕の立場は何なんだろう。




