表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
チョコレートを食べながら  作者: 藍沢凪
117/250

お題:熱い悲しみ 制限時間:15分 文字数:496字


僕と魔法使いをよそに勢いよく駆けていった勇者は何もない所で立ち止まっていた。

追い付いた僕がどうした?と聞くと、ここだと低く呟いた。魔法使いが聞き返す。


「これ、街の入り口にあったんだ」


勇者がそう言って示した足元にはボロボロの看板が落ちていた。"アルトリアの街へようこそ!"という文字がかろうじて読める。


「まさか」

「ああ、ここが俺の故郷、アルトリアだ」


勇者はグッと拳を握りしめた。


アルトリアは噂に聞いていたのとはあまりにも大きくかけ離れていて、勇者も僕もあの饒舌な魔法使いさえも口を開けなかった。

目の前の光景は悲惨の一言だった。

建物は倒壊し、木という木は立ち枯れ、地面はからからに干からびていた。人も動物も見当たらない。風が吹くと土埃が舞い上がる。街のどこにも生命が感じられなかった。

勇者が街を出てたった数年で魔王軍は勇者の故郷を荒れ地に変えてしまったのだ。出会ったときに勇者が語ってくれた緑豊かな街はとっくに失われていた。


ふと見た勇者は大粒の涙を流していた。


「意味ないだろ。俺は守るために街を出たっていうのに。守る街が滅んでいたなんて、意味、ないだろ」


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ