アンタッチャブル ※未完
お題:彼女の部屋 制限時間:15分 文字数:472字
「とりあえず、入って」
ゆったりとした紺のワンピースに裸足で対応した彼女は眠そうな目をしていた。大学とはずいぶん雰囲気が違う。
室内へ戻る彼女の後ろ姿に、お邪魔しますと呟く。
壁には様々な絵画が飾られていた。風景画や抽象画、モノクロにビビッドカラー、アニメタッチに誰かの肖像、写真と見紛うものから落書きのようなものまで、ありとあらゆる絵画が真っ白な壁を埋め尽くすように飾られている。
床には積まれた本でいくつもの山が出来ていた。本の山の上にはクロッキー帳やら色鉛筆やら絵の具といった画材が置かれている。
部屋を案内してくれた本人はタバコに火をつけ、大きな真っ白いキャンバスの前に置かれていた丸椅子に座った。
限界まで絞られてクチャクチャになってしまったチューブや折れてしまった筆があちこちに散らばっていて、うっかり踏みそうだ。
適当に座って、と言われた僕はチューブを辺りに避けて床に座った。
異世界だ。部屋中のどこもかしこも主張が激しくて、僕がちっぽけに感じられる。
彼女はタバコを手にし、ゆっくりと煙を吐いた。
「それで、何の用?」




