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「一緒にすれば良かったのよ」
お題:馬鹿な恋人 制限時間:15分 文字数:357字
「ご、ごめん。冷蔵庫に入ってたプリン、間違って食べちゃった…」
私が雑誌から顔を上げると、彼は眉をハの字に下げていた。手には既に蓋が半分まで開けられたプリン。蓋には確かに私の名前がマジックで書かれている。冷蔵庫に二つあるプリンをよく確かめずに手にしてしまったらしい。
「ジュンくんの分は?」
「冷蔵庫にまだある」
「じゃあ、それと交換ね」
「ご、ごめんね」
「いいよ。でも次からは気をつけてよ」
「う、うん」
彼はプリンを食べ始めたけれど、その姿は叱られてしまったゴールデンレトリバーのように元気がない。ジュンくんはちょっとしたミスにも物凄く落ち込むタイプだ。
私は雑誌を閉じて冷蔵庫に向かい、ジュンくんの名前が書かれたプリンを取り出した。ジュンくんの隣に座って蓋を開ける。ジュンくんは目を丸くしていた。




