晩飯
お題:楽しかった団欒 制限時間:15分 文字数:468字
23時過ぎに帰ってきて目に飛び込んだのはリビングのテーブルにラップをかけられ、すっかり冷めきった晩飯。初めは寂しかったこの光景にもずいぶんと慣れてしまって、今日は唐揚げだったんだ、揚げたて食いたかったなあ、とかそれぐらい。リビングには誰もいないのでみんな寝てしまったんだろう。母さんも父さんも姉ちゃんも寝るのが早い。
部屋で着替え、おかずにかけられたラップを剥がし、茶碗に飯をよそう。テレビを見ながら食べ始めたら、あっという間に日付が変わった。
俺が高校生で姉ちゃんが大学生だったのは去年だけど、その頃は20時ぐらいに家族が揃って夕飯のテーブルを囲んだ。飯を食いながら見るテレビに対してみんなで笑ったり、つっこんだり、賑やかな食事だった。姉ちゃんが社会人になって帰ってくる時間がバラバラになり、俺も部活に入って帰ってくるのが遅くなると、どうしても家族一緒に食事をする機会は減っていった。別にそれが寂しいとか孤食がどうとかじゃないんだけど、今度家族4人揃って飯を食べるのはいつだろうなんて考えていたら好物の唐揚げの味がよくわからなかった。




