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恋への一歩
私は森で生まれ、森で育った。
私の名前は支線木苺、木苺と書いて「いちご」と読む。
名前をつけてくれたのは祖母だった。
私には母はいなく、父もいない。
祖母と二人で暮らしてきた。
祖母はなにか私とは違うオーラを持っている人だ。やわらかく、それでいてあたたかい、そんな祖母に私は隠していることがあった。
小学校、中学校と通ったが、小学校、中学校とも男子生徒がいなかったせいか男性に敏感になっていった。
話しかけられても、顔はよく見れない、
嬉しいんだけど緊張して、一つ一つの言葉を慎重に選んで。自分が自分じゃなくなる。
まるで、自分が空気みたいだ。
こんな気持ちに出会ったのは2日前のあの日だった。