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鍵のかかった引き出し

作者: 霧雲御影

初めての投稿です。

何分不十分な点が多いですが勘弁してください。

『鍵のかかった引き出し』

  ※

 家の中、子ども部屋の、勉強机。その中にある鍵のかかった引き出し。

 この中には、一体何が入っているでしょう?

 これは、俺が体験した、数日間の記録である。

  ※

「…これで、遂に開くぞ」

 午前11時45分。

 俺は手の平の中にある小さい銀色の『鍵』を見て、強く握った。

  ※

午前3時21分

「あーーーーーっ、久しぶりだなーーー!」

実家の前で、俺(柴田武)は大きく伸びをして笑みを浮かべる。

苦しかった就活を終え、社会人として外資系企業に働き始めた俺は、アパートを借りて独り暮らしを始めた。

そして数年、会社の地位も中々上がってきた俺は、ゴールデンウィークを利用して、実家に帰ることにしたのだ。

   ※

「お帰り武。さ、さ、あがってあがって」

ドアを開けて俺を見た母は、嬉しそうに笑って出迎えてくれた。

俺は玄関を上がり、リビングに向かう。

ああ、懐かしいにおいがする。

そういえばもう三年も経つんだなぁ。

そう思いながら俺はリビングのソファーに座る。

「健治はもう大学三年生かぁ・・・」

ソファーでくつろぎながら、俺は弟の健治の顔を思い浮かべる。

健治は少しお調子者で、いつもクラスの中心に立っていた。確か、俺の記憶じゃあ工学系の大学に進学したはず・・・。

「はい、お茶。外暑かったでしょう?」

母が俺にコップに注いだお茶を出した

「ああ、もらうよ。」

俺はコップを受け取りぐいっと飲み干す。キンキンに冷えたお茶はあっという間にのどを通っていった。

「親父と健治は・・・いつ帰ってくるんだ?」

母は少し考える素振りを見せた後、

「んーーそうねぇ、六時ぐらいじゃない?」

と言った。

「そうかぁ。楽しみだなぁ、会うの」

そこで俺はふと思い出した。

「母さん、俺の部屋、どうしてるの?」

「あら、それならそのままにしてるわよ」

「そうか。じゃあ少し見てくる」

俺はソファーから立ち上がり、リビングを離れ2階へ上がって俺の部屋に向かった。

  ※

「うわっ。なっつっかしーなー!」

久しぶりに見た俺の部屋は確かに出て行ったときから変わっていなかった。

本棚にある溢れんばかりのライトノベル。

毎日聞いていたアニソンしか入っていないCDとラジカセ。

全てがあのときのまんまだった。

ふと俺は、勉強机に目をやった。

小学校入学のときからずっと使っていた勉強机は、大学卒業まで使っていたが、とても頑丈で壊れたことなどなかった。

俺は勉強いすに座り、備え付けの蛍光灯を付ける。

「あーーホントなつかしーー」

俺は順番に引き出しを開けていった。

  ※

「?」

その引き出しだけ、鍵がかかっていた。

俺は疑問に思い、軽く辺りを見回して鍵を探す。が、一向に見つからない。

そして思った。

(この中に俺は何を入れたっけ?)

大学卒業時の俺を振り返りながら、考える。

  ※

【可能性1】

ああいう方面の本とかが入っている。(これだと思うが、ほかに何か入っているかも)

【可能性2】

へそくりが入っている(それだったらアパートに持っていくわなぁ)

【可能性3】

何も入っていない(これはないだろう)

【可能性4】

思い出の品が入っている(現に卒業アルバムとかは机になかった)

  ※

「よし、探すか!」

 午後4時6分。

 俺は引き出しの鍵の捜索を始めた。

・机の下……なし。

・弟、健治の机……なかったなぁ。

  ※

「やっぱ見つからねぇー!」

鍵探しは2日目になり、まだ見つからなかった。

「どうしたの、武!?大きい声出して!」

俺の大声に驚きながら母さんが部屋に入ってきた。

「鍵が見つからないんだよ、引き出しの」

「え?それってこれの事?」

 母さんはエプロンのポケットから銀色の小さい鍵を取り出した。

「えッ?どうして母さんが持っているの?」

「昨日、見つけちゃったの?」

「…何処に?」

「あんたの机の裏の奥。掃除機で掃除してたら偶然吸っちゃって、何だろうと思って持っていたのよ」

 俺は母さんから鍵を受け取り、まじまじと見つめた。

「で、これがどうしたの?」

 母さんが俺の顔を見て尋ねてきた。

「…なんでもない。母さん、とにかく見つけてくれてありがとう」

俺は母さんを部屋から追い出し、ベッドの上に倒れこんだ。

「やったぁぁぁぁぁ!」

「五月蝿いわよ武!」

 俺の雄叫びに遂にブチ切れた母さんがまた部屋に入ってきて、俺は数年ぶりに母さんから説教を受ける事になった。

 ※

「よし、開けるか」

 俺は小さい鍵を引き出しの鍵穴に差込み、右に回そうとする。

その時、俺の顔に、小さい汗の粒が滴る。

「…」

 俺は汗を拭い、今度こそ鍵を回そうとする。

「…いくぞ」

 そして俺は、鍵を回した。

  ※

「ガチャリ」

少し小さい音がして、鍵は一回転した。

「…はぁーー」

 溜まっていた空気を吐き出し、俺は引き出しに手をかけた。

そして、引き出しの中を開けた。

「…こんなのが入っていたのか、俺の引き出しには」

 引き出しの中身をみて、俺はボソッと呟いた。

  ※

「へぇ。こうして会うのも久しぶりだなぁ、柴田」

翌日の午前10時15分。

俺は久しぶりに高校時代の先輩に会っていた。

彼の名前は井上仁志。人気推理小説作家「匂宮星斗におうのみやせいと」として「THE・密室」などの密室殺人事件をテーマにした本を書いている。

「そうですね、井上先輩。ゴールデンウィークだったので久しぶりに帰ってきました」

「そうだろ。で、久しぶりに家に帰ってどうだった?」

「それについてはちょっと面白い話があるんですよ」

 俺は井上先輩に『鍵のかかった引き出し』の話をした。

「ほおー。で、引き出しには何が入っていたんだ」

 俺は笑って先輩に言い返した。

「先輩は推理小説書いてんでしょ?それくらい自分で推理してくださいよ」

「俺の専門は密室殺人なんだがな…」

まあいい。ちょっと待ってろ。井上先輩はそう言って少し考える素振りを見せた。

  ※

「わかったぜ」

 考え始めて数分後、先輩は言った。

「じゃあ、何です?」

「解ったが、お前には教えねぇよ」

「もしかして解らなかったんですか?先輩?」

「バーカ。わかっとるわい。ただ、言ったらつまんなくなるだろ?」

「そうですね」

「ま、そういう事だわ」

井上先輩はそう言って俺の頭を叩いた。

  ※

「じゃあ、また今度こっち来たら会おうな」

 先輩はそう言って去っていった。

「ええ、また冬には返ってきますよ」

 俺も先輩に言って手を振り返した。

  ※

 鍵のかかった引き出し。貴方の部屋にもありませんか?

ちなみに、俺の引き出しの中身は皆さんのご想像にお任せします。

 まあ、後日談ですが、俺は自分の引き出しと一緒に弟の健治の引き出しも開けてみました。

 まあ、何があったかなんて言いませんが。

それでは、さようなら。

 ※

END


テレビドラマの『鍵のかかった部屋』を見ていたら、偶然閃いた小説です。

正直、最後あたりは詰みました。

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