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ふぁっといずでぃす14

二ヶ月以上のご無沙汰です。色々とありましたね。無事でなによりです。

 脱がされた瞬間よりも、穿き直している時の方が小っ恥ずかしいのは一体どんなワケなのか。

 そんなことを考えながら、相田は荷台の陰で、もみ合いの中脱がされてしまったズボンをいそいそと穿く。

 ニネルは尊重されている。彼女自身の人柄や能力によるものなのか、それとも魔法使いという地位によるものなのか。どちらか分からないが、ニネルが責任を持つと言えば、ルキノはそれ以上詮索はせず、バッツェに相田を自由にするよう指示もした。

 少なくともあの三人の中では、ニネルが最も上位の存在と思える。

 胡散臭いところもあるが、頼っていいのだろう。

 ――魔法使いというのは本当なのだろうか。

 バッツェのセリフには、それを肯定するような所があった。『魔法使い殿に……』云々と。

 それに、あのロボット。ゲートクラヴィオ。普通に考えればここの文明レベルとは、背丈が合わない気がする。

 魔法で動くと言うから、例えばゴーレムみたいな代物なのかも知れない。それならば納得が行く。

 確かにニネルが相田に見せたものは、単なる手品だった。しかし考えてみれば、いきなり火球を飛ばされたって困るわけで、あれはあれでしょうがないことだったのだ。

 この世界には、魔法がある。

 そう信じることに決めた。

 その方が面白い。

 相田は荷台の陰から、顔をちょっと出す。

 二ネルは荷台から身を乗り出してニヤけていた。

 真顔で相手をしているのが、ルキノという女の人。十代後半から二十代前半。表情は硬いが、素材は柔らかい。美人、と言う点ではニネルと同じだが、そのベクトルが少々違う。ルキノの方が肉感的で、男子の目に対し強い吸引力を有している。

『ベルサイユのばら』みたいな、それを少し地味にしたような紺色の軍服――らしきものに身を包んでいて尚そうなのだから、脱いだらスゴイに違いない。

 そういった観察ができたのはほんの一瞬。盗み見るには距離が近い。

 綺麗な瞳が四つ、凡人を捉えた。

 気圧され、たじろぎ、相田は愛想笑いを浮かべる。

「なんだい? ナメクジみたいな顔して。気持ち悪いぞ」

 ショックである。

 愛想が、ニネルに対してはむしろ生理的嫌悪感を与えたのだという。それが本当なら、それが遍く女性からの評価であるとするならば、相田は死ぬまで童貞決定である。労せずして魔法使いになれる、ということでもあるが、もちろん全然嬉しくない。

「改めて、紹介しよう」

 マイペース。二ネルは相田の感情にはお構いなしで、ルキノを指し示す。

「ルキノくんだ。売り出し中の若手調律師だ。奏縦士としても良い腕を持っている」

 ついで相田の足元の辺りを指差す。

「彼はアイガくん」

「相田です」

「無職だ」

「高校生です」

 ルキノは軽く顎を引き、

「よろしく無職のアイガくん」

 相田の声は雑音として処理されている様子。

 ようするに信用されていないのだ。

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