ふぁっといずでぃす12
更新がだいぶ間延びしてきちゃいました。出来れば週一ぐらいで更新したいところ。
「降りろ、コラ!」
「ヤです!」
「ヤじゃねー! 乗っていていい理由がねぇだろ!」
「ニネルさんが一緒に来いって言ったんですよ! ね? ニネルさん!」
「本当ですかい? 先生!」
動きを止めニネルを注視。
「うぅん」
『ほら!』
ペシペシ。
「ニネルさんちゃんと説明してくださいよ!」
「ナグロっていうのは、あのゲートクラヴィオの名前でね――」
「機体名ですね! けどそれ今いいです!」
「何ごちゃごちゃ言ってやがんだ!」
「ナグロがなんのことか聞いてたんですよ! 聞こえてたでしょ!?」
「先生、こいつは何なんですか!? もしかして脅迫でもされてるんですかい!?」
「されてないよ」
「脅迫されてるんなら仰ってくださいよ!」
「脅迫されてたら言えないよ」
「そりゃそうだ! テメーコノ野郎! 先生を解放しろ!」
「何もしてませんよ! ニネルさん、ややこしいこと言わないでください!」
「じゃぁ何も言えないよ?」
「なんでですか!」
「テメーが脅迫してるからだろぅ!」
「してないですって!」
「うるさいと思って来てみれば……これはなんだ?」
その女性――相田がこの世界にきて初めて会った人――が現れたのは、相田が荷台の縁に指先を引っ掛け、母に買い与えられたペイズリー柄のトランクスを白日の下に晒し、足首をガテン系のオッサンに引っ張られ、身長を三センチほど引き伸ばされた時だった。
「お嬢! 不審人物です!」
言いながら髭面男は相田を仰向けにひっくり返す。
相田は一瞬右手のみで身体を支え、両腕を交差させるように左手を再度荷台の縁に引っ掛け、頭部からの落下を必死に凌ぐ。
「変質者!」
女性の声が耳に突き刺さる。
交差した自分の腕で視線が遮られ、相田には自分の状態が見えないが、パンツ丸出しだから多分そう思われたのだ。
「違います!」
「テメー! お嬢になんてもの見せんだ!」
「あんたがズボン脱がしたんでしょうに!」
「バッツェ! 早く何とかしろ!」
女性がヒステリックに指示する。
「ガッテンで!」
髭面男が応じ、相田はもう一度ひっくり返されて、元の姿に。
「何事だ? バッツェ」
「さっきのガキです。勝手に乗ってやがりました」
あぁ、このオッサンの名前は『バッツェ』か、と頭の隅に記憶しつつ、それより元通りうつむけにされただけで『なんとか』なったのだとすれば――と考えずにはいられない。
トランクスの裾から嚢か茎が露出していたのかも知れない、と思い至り、相田は発光せんばかりに激しく赤面する。
「面白いだろ? ルキノ君」
片膝を立てて状況を傍観していたニネルが言った。