表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/19

ふぁっといずでぃす1

アクセスありがとうございます。

大まかな設定しか考えずに書き始めているので、どうなるかわかりませんが、お付き合いいただければ幸いです。

相田俊家は生きていることが辛かった。

だからといって積極的に死にたい、というわけではない。

死ぬ時には痛い思いをするかもしれないし、自分という存在が消えるのは単純に恐ろしい。

生きているのは辛いが、死ぬほどではない、と思う。

相田は漫画が好きだ。ゲームも好きだし、ラノベも好きだ。

虚構の世界は良い。毎日楽しいイベントの連続だ。

中には辛い出来事もあるが、それを乗り越えれば、可愛い女の子とのロマンスもある。

それに比べてこの世はなんだ!?

あったりまえのことしか起こらない。

可愛い子がいても、結局彼氏がいて、なのに「彼氏とかいません」なんて嘘ついて金を巻き上げたりするのだ。

ふざけろ! ふざけるな! どっちだ!

地団駄。

ちょっと休憩してまた地団駄。

そんな世の中だから、相田は自分の人生に本気になれない。

頑張ったって、どうせ報われないのだ。

本気を出せば俺だって……。

そう思うのだが、この世にはそれだけの価値がない。


目を覚ますと同時に、相田は異変に気づいた。

森だった。

木々の間に、青い空が見えた。

落ち葉のクッションが、乾いた音をたてる。

近所の公園か?

そう思ったが、なぜ自分がそこで寝ていたのか、それがわからない。

着ているのは詰襟。

高校の制服姿で、地面に寝る。そんな趣味はなかった。

心細い。

訳も無く家に帰りたいと思った。

方角もわからないまま、木々の合間を縫って、とりあえず明るい方へと向かった。

視界が開ける。

相田は呆然と立ち尽くした。

目の前に舗装されていない土剥き出しの道。その向こうはどこまでも続く緑の丘陵地。

北海道とか、イギリスのウェールズ地方とか、たぶんそんな景色だ。

近所にこんな場所はない。

瞬間移動?

いや、どこかで気を失い、その間に誰かにここまで運ばれた、その方がいくらか現実的だ。

いずれまともな状況ではないが。

なんでこんな目に……。

途方に暮れた。

『こんな目』の正体もよくわからないし、これからどうしたら良いのかもわからない。

――そうだ、携帯。

GPSで現在地を確認出来れば、とりあえず家には帰れる。

制服のポケットを探るが、感触はなかった。

どこかで落とした。誰かに取られた可能性もある。制服姿なのに、学校鞄もないのだ。

とりあえず、目を覚ましたあの場所に戻るべきか。携帯も鞄も、そこに落ちている可能性は低いが、一応確認はしておくべきだろう。どうせ他に思いつくこともなかった。

森の奥に引き返しかけて、物音に気がついた。

ゾゾッ、ゾゾッという砂地を擦る音。遠くの方から聞こえてくる。

人工物の音だと思った。

森から飛び出し道に出た。

音のする方へ目を凝らす。

土埃を上げて、なにかがこちらに向かってくる。

それがなんであるか、相田は明言することができなかった。

多分、人の形をしている。二本足で歩いているからそう思った。

しかし人にしては不細工なフォルムだ。チンパンジーとかオランウータンなんかに似た姿勢。

表面が陽を反射させる所を見ると、金属製の鎧みたいなものを着ているらしい。

そして、おそらくデカイ。

樹木と道が作る遠近法から、おおよそ高さ5、6メートルはある、と相田は目算をつけた。

人型ロボット、じゃないのか?

目に入ったものを信用するなら、そうだ。

しかし相田の常識がそれを否定する。

最近は二足歩行のロボットをメディアで見る機会も多い。だからこそ言えるが、現実の二足歩行人型ロボットは、いま目の当たりにしている、あんな物ではない。

だからあれは人型ロボットなんかじゃない。

じゃぁ、なんだ?

わからなかった。

そうしている間にも、それはぐんぐん近づいて来て、いまや相田の視界のほとんどを埋めていた。

相田は唖然と見上げ、思考を停止させ、ただ立ち尽くしていた。

このまま踏み潰されるかもしれない、とさえ考えられなかった。

そうなる前に人型は歩みを止めた。

肩の後ろから、人が顔を出し、覗き込む。

「なにをしている! 道を空けろ!」

女の声だった。

いまの相田には、そんなことどうでもよくて、

「これは! これはなんですか!?」

興奮しながら訊いていた。

もう疑うべくもない。

これはまだメディアにも紹介されていない、最新の人型有人二足歩行ロボットだ!


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ