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恋に無縁な理系令嬢、公爵令息に溺愛されそうです  作者: あさじなぎ@小説&漫画発売


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11/12

11 お散歩

 カフェを出て、私たちは付近を散策することにした。

 腕時計を確認すると十一時半くらいだ。

 石畳の歩道を挟むように街路樹が並ぶ。木の根元に植えられた花が、きれいに咲いていて彩りを添えていた。

 春は花の季節。すうっと息を吸うと花の甘い香りが漂ってくる。


「穏やかないい日ね」


 言いながら、私は帽子に手を当てる。

 優しく流れる風がとても心地いい。


「そうですね。しばらく気が落ちていたけれど、やっと穏やかになってきました」


 そう告げるエルネストの顔を見ると、柔らかな笑顔を浮かべていた。

 それならよかった。

 婚約破棄、なんていうものに巻き込まれて大変な思いをしたから。

 私の友だちもだけど。

 他人ごとと思って笑っていられる内が幸せなのよね。

 そうそうおこる事ではないだろうけれど、私、もし結婚するとなったら浮気とかするような相手、選ばないようにしたいわね。

 

「リタ、せっかくですから、お昼を食べに行きませんか」


 エルネストが、歩きながらそう提案してくる。

 まあそうなるわよね。

 もう少しすればお昼の時間になるし。

 私は頷き、


「いいですね、そうしましょう」


 と答えた。

 レストランも多いし、食べる場所はいくらでもあるでしょう。


「この辺りに来るのは久しぶりなので、さっき図書館でレストランのマップを貰って来たんですよ」


 と言い、彼はバッグから冊子を取り出す。

 それは、この近辺に地図にレストランやカフェなどの場所、簡単な説明が書かれているものだった。

 そんなものがあるのね、初めて知った。


「へえ……知らないお店がたくさん」


 道の隅に立ち止まり、私たちは地図を見る。

 パンのお店にピザのお店。アイスクリームの専門店なんてあるのね。

 地図の隅にはおいしそうな料理のイラストが描かれていて、見ているだけでお腹が空いてきてしまう。


「どのお店も魅力的ね」


 お城が近いからかお店の数も多い。

 お昼となるとカフェは論外よね。そうなるとハンバーグとかパスタのお店かしら。


「俺は苦手なものはないけど、君はどう?」


「私もこれといってないですよ」


「じゃあ……この先、歩きながら行けるお店にしようか」


「そうね、そうしたらお散歩ついでに行けるわね」


 話し合いの結果、ピザのお店に行くことに決まった。

 

「あ、魔法科学技術館」


 私は思わず立ち止まる。

 魔法科学技術館は、名前の通り科学の博物館だ。

 人類の進化の歴史が詰まっている場所で、子供の頃から大好きな場所だ。

 久しく近づいていないけれど。

 大きな看板が、入り口の前に出ている。なにか特別展をやっているのかしら?

 思わずじっと見つめていると、エルネストの声が聞こえた。


「立ち寄りますか?」


「え? あ、でも……」


 私は迷いながら声を上げる。

 行きたい気持ちはある。久しぶりだし展示も変わっているかもしれないから。

 でもこういうところって興味があるかどうかで楽しめるかが変わってしまうし、そもそもエルネストはこういうところに興味があるのかしら?

 悩んでいると、エルネストが畳み掛けてくる。


「子供の時は足を運んで、新しい技術や知らない世界に心ときめかせましたよ。久しぶりだし、俺も興味があるから」


 そう言われると、私としてもいかない理由がない。


「ありがとう、そうね、行きましょう」


 私が頷くと、彼も頷き技術館へと向かい歩き出した。



 魔法科学技術館。

 魔法と科学の技術発展について学べる施設だ。

 入り口でチケット代を、当たり前のようにエルネストが払ってくれた。

 そのあとで私は自分の分を渡したけれど。


「あぁ、うん、そうだね」


 と言い、エルネストは笑って私から代金を受け取った。

 男が払うのが当たり前、っていう風潮、なくならないかしら?

 嫌いなのよね、本当、そういうの。

 廊下を行き私たちは展示物へと目を向けた。

 人類の始まりが、神話と絡めて描かれている。

 内容はあんまり変わってないけど、絵とかが新しくなってるかも。

 神様によって生まれた人間と、魔法。

 人は大地に溢れ、魔法を使って発展を遂げた。

 空に憧れて、空を飛ぶ魔法を開発した話や、たくさんの人を運ぶために、飛行船を開発した話などが描かれている。

 子供の頃、こういう話に心がときめいたのよね。


「久しぶりに来たけど、少しずつ展示、変わっているんだね」


 エルネストの言葉に私は頷く。


「そうね。新しいことがわかったりして、展示の量が増えたりして」


 言いながら私は展示を見回した。

 私も何か、生み出せたらいいな。

 魔法と科学。

 相反するものにしか見えないこの二つが融合して、この世界の技術は進んでいる。


「私もいつか、ここに展示されるような技術、生み出せたらいいな」


 思わず言葉に出して、私は恥ずかしくなる。

 だってそんなのおこがましいって思うから。


「あぁ、素敵な夢だね」


 って、エルネストが言う。

 あれ、否定しないのね。

 てっきり笑われるかと思ったのに。

 私はふっと笑って、


「ありがとう」

 

 って答えた。

 

 

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