鳥かごのお姫様
「真緒、おはよっ」
「おはよう」彼女たちはいつも通り大学のキャンパスを歩きながら友だちと笑い合っていた。真緒は彼女はいつも明るい雰囲気を纏っている。しかし、彼女の心の奥底には孤独が潜んでいた。そんな彼女には幼馴染の春がいる。彼は、彼女のことを誰よりも理解していると自負していた。そして、彼は真緒の笑顔が大好きで、真緒が笑ってくれるなら、真緒を守るためならば、なんでもする覚悟を持っていた。
〜ある日〜
真緒は春から突然の告白を受けた。
「真緒、俺は真緒のことを愛している。俺が守りたい、誰にも渡したくない。俺と付き合って欲しい。」彼の目は真剣そのもので真緒は戸惑ったが、春からの愛情は確かに感じられ、違和感を覚えつつも告白を受けた。
〜さらに数日後〜
真緒が大学から帰っている途中のことだった。
「僕は、君のことが好きだったんだ、それなのにあんな奴と付き合うから。君が悪いんだ。君を殺して僕も死ぬ。」
「いや!誰か助けて!!」
「真緒!」
「春!」
「てめぇ、真緒に何してるんだ!」
「ちっ」
「帰ったか、真緒大丈夫?俺の家すぐ近くだからとりあえず行こ。」
「うん」
〜春の家に到着〜
「真緒」
「うん?何、春?」
「真緒、真緒を守るためなんだよ。俺のそばにずっと居てくれれば誰も、真緒を傷つけられない。ずっとここに居てくれ。」
最初は恐怖に震えていた真緒だが、春に優しく接されているうちに心が絆されていった。春は毎日真緒の好きなものを作って彼女のためだけに時間を費やし続けた。真緒は春の愛情を受け入れ始めたが、それと同時に春に違和感をより強く感じ始めていた。
「真緒俺とずっと一緒にいてよ。俺は真緒を誰にも渡さない。真緒も俺と一緒にいれたら幸せなんだ。」春の言葉が真緒の心に重くのしかかる。春の愛情をは優しさを装ってはいるが、明らかに、狂気を孕んでいる。
真緒は、自分の過去を振り返った。幼い頃に両親を事故で亡くし、親戚の家で育った私はいつも疎外感を抱えていた。だから、春に愛情を与え続けられることを嬉しく思っていた。しかし、監禁という行為は、明らかに歪んでいる、間違っているということを理解していた。
〜その日の夜〜
「ねぇ春、私を監禁することって本当に愛なの?」
春は一瞬驚くような表情を見せたが、すぐに優しい笑みに戻った。「愛に決まっているだろ。これは、真緒を守るためにやっているんだ。真緒が傷つくことは、俺には耐えられない。」
その言葉を聞き真緒は胸が締め付けられる思いがした。確かに春が私に向けてくれるものは私がずっと望んでいた 『愛』に違いないと思っている。しかし、その愛がどれだけ歪んでいるのだろうと考えると、恐怖が募っていった。
それでも真緒は、諦めたくなく、春が私に向けているのは本当に愛なのか、それとも、狂気の産物なのか、見極めるために春との関係性を深めることにした。
そんな風に日々を過ごしていく中で真緒は春の過去を知ることになる。春は真緒と会う前の幼少期に、両親から愛情を与えられておらず、孤独な日々を送っていた。そのため、春は真緒に対して異常なまでの執着心を抱くようになった。
少し、自分の境遇と重ねてしまった真緒は、春の心に寄り添おうと決意した。
〜ある日(春が不在の日)〜
真緒は、もっと春のことを知りたいと思い春の部屋に忍び込んだ。そこで春の日記を見つけたのだ。そこには、真緒を愛するあまり、他の人を全て排除しようとする考えが綴られていた。真緒は、恐怖に震え、春の愛情がどれほど危険なものだったか痛感した。
〜春の帰宅〜
「真緒どうしたんだ?」春が心配そうに尋ねる。真緒は何も言えずただ春を見つめることしか出来なかった。春は真緒の不安を感じとり優しく抱きしめた。「大丈夫俺がいるから。絶対俺が守るし真緒のためならなんでもするから。」
春のその言葉に真緒の心は揺れた。春の愛情は本当に深い。しかしその愛情は私を束縛するものでもある。真緒は春の愛情を受け入れるべきかそれとも逃げ出すべきか選択を迫られる。いつまでもいたらきっと絆されてしまうから。
真緒の心は決まった。「ごめんなさい。私はもうここには居られない。私のことを愛してくれているのなら、自由になることも認めて。」春は驚いた表情を浮かべたがすぐに表情が歪んでいく。「真緒を自由にすることはできない。真緒を失うことを俺は耐えられない。」
その瞬間、真緒は春の心の中にある狂気を理解した。そして、逃げ出す覚悟を固めた。真緒は、春の手を振り払い、部屋を飛び出した。
春は、真緒を追いかけた。「真緒待ってくれ!俺は真緒を守るためならなんだってするから!」春の叫び声が背後から聞こえたが真緒は振り返らずに走り続けた。
真緒は自由を求めて春の愛から逃げ出した。真緒の心には春の愛が残っているが、それはもう真緒を束縛するものではない。真緒は、新たな一歩を踏み出し自由を手に入れた。
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