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悪魔の魔女の死んだ恋  作者: 地獄耳
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聞きたいことはないかと、先生から言われたが結局なにも思い浮かばなかった。

何故か後ろめたい気持ちになったが、先生からは「当たり前だよ。逆にむりさせてしまったね。」と眉毛を下げながら謝罪されてしまった。

そのあとは「起きたばかりの患者に質問攻めして、僕は悪い医者だな。まずはゆっくり休もう。それが君の仕事だよ。」と言い残して、部屋を去っていった。


それからは看護師が何人か来てくれて、点滴の投与、身体を拭いてくれたりした。

食事は目覚めたばかりだからと、胃が弱っているからゼリーから始めるらしい。全身の筋肉が旅に出ていて、腕さえ胸の下までしか持ち上がらない。

スプーンも握り切れず、気付いた看護師が食事を介助してくれた。

「目が覚めたばかりなんですから、手伝わせてくださいな。看護師のお節介だと思って。」

年代的には、母親になるくらいの年齢だろう。

声にはならないが、口を動かして精一杯お礼を言うと「いいんですよ。変態親父じゃなくて、こんな可愛い子のお手伝いさせてもらえるんです。私がお礼言わないと。」と毒づきながらもクスクスと楽しそうな返事が来た。


久しぶりだと思われる食事は、若干の飲み込み辛さを感じたが、時間をかけて全部食べることができた。

普通の食事を食べれる日は、本当に来るのだろうかと寝る前にふと考えてしまった。


数日が経過したが、当たり前に目まぐるしい回復はしていない。変化は少し声がでるようになった、スプーンを握れるようになったことだ。

ちょくちょく看護師や先生は来てくれると言っても、わたし以外にも患者はいるのだろう。部屋ではほとんどを、一人で過ごすしかない。

歩いたりどこかに行く筋力を、まだ持ち合わせていない。

そんなわたしにできることは、リハビリの先生からの課題。エリアノートの練習。声出しの練習程度だった。


リハビリは目が覚めた2日後に始まった。小柄でおっとりした雰囲気の先生は、スパルタなことこの上ない。たかが20分程度のリハビリが、体感半日に感じた。

スプーンを握れるようにしかなっていないことに、切なさを感じた。


リハビリの後は疲れなのか、1時間くらい寝てしまう。そこから起きると、特にすることもないのでエリアノートで遊んでいる。かなり使いこなせるようになり、意思疎通もとれるようになった。


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