策士は幸せを手にする
浮気大好き王太子と婚約者イビリ大好き妃と妹、そしてセクハラ国王に呆れて別れたい私は、時期妃を狙う子爵令嬢をワザと王太子の耳に入れた。
まんまと餌に食らいついた二人は、私に婚約破棄を申し入れた。
喜びは内に隠し、嘘泣きをしながら婚約破棄手続きをし、受理され帰宅してから高笑いをし床に転げ回り笑い転げた。
「アリス様…良かったです」
「本当に!」
メイド執事は涙して喜ぶも、許さない馬鹿親と兄は私を責め立てた。
そんなこんなで、三ヶ月が過ぎた頃、子爵令嬢が深夜に泣きながら我が家のドアを叩き騒ぎ立てた。
「アリス様!謝罪をいたしますわ!だから…だからどうか、お助けください!」
両親兄は目を丸くして、話を聞くと、私を見てバツが悪そうに目を逸らす。
『知らないわよ。私、釘を差したわよ。本当に彼で良いのかと後悔しないのか、そしたら…負け惜しみは醜いですわと嗤われたでしょう。
その嘲笑い馬鹿にした私に助けを乞うのは可笑しくてよ』
「ひ…酷いですわ!知っていて騙すなんて!」
「失礼いたします」
姿を表したのは、燕尾服が似合うダンディズム溢れる執事長のクレソン。
「私が傍にいました。証人として言わせていただきます。
アリスお嬢様は、貴方様に幾度となく窘めていました。王太子はおやめなさい、と。今なら引き返せると。それを、振り払い貴方様は王太子を選びました。それは…貴方様の自己責任でございます」
クレソンはギラリと令嬢を睨むと、令嬢は泣き崩れた。
2回も婚約破棄は出来ないため、そのまま妃になり、毎日茶会で嫌味を言われ、舅姑のハラスメントや嫌がらせ、妹二人からも嫌がらせの毎日で、しかも夫の国王代理は毎晩毎晩浮気三昧、妃は心を病み寝たきりと聞いた。
私は私で、クレソンと既成事実を作り上げた。
クレソン以上の異性はいない。清廉潔白、容姿端麗、頭脳明晰、文武両道に加え私を如何なる者からも守るのだから。
年齢差?
このダンディズムが理解できないなら黙らっしゃい!
私が23歳、クレソンが47歳だけど気にならない。
『クレソン起きて』
「アリス様…じゃなく……アリスおはよう」
むはー!ハスキーボイスに寝起きのフニャリ微笑にメロメロメロン〜〜。
『朝ごはん用意しました』
「ありがとう」
布団から出たクレソンは、上半身だけ裸、鍛え抜かれた身体が目に入り顔を赤らめる。
「アリス…」
頬にキスされ悶えてる間に、クレソンは私服に着替えていた。流石元執事長!
「さ、行きましょう」
『はい』
私達は屋敷を出て、喫茶店を営み、平和に暮らしている。
この平和の為なら、私は悪魔にでもなれますわ………。
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