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記録No.1 日常の光景

「んむぅぅぅぅ〜…」

「…随分と早かったな…」

「むぅぅぅ〜…」


どうやら、言葉を交わすには合言葉がいるらしい。

と言っても、俺ができることは謝罪ぐらいなのだろうが。

あとこいつのこれは素だ、可愛いだろ?


「出してくんないか?」


とりあえず俺はこの汗クセェ戦闘服を着替えたいのだが、


「…断る…」


相棒は乗り気じゃないらしい。


「え〜…ど〜すればいい?」

「…」


俺が問うと、相棒はコクピット内に乗り込んできて、


「……むふ…」


俺の胸に飛び込んできた。

諸君、これはいつもの事だ。

繰り返す、これはいつもの事だ。


「…全く、そういうことするから子供って言われんだよ」


俺は慣れた手つきでハッチを閉じた。


「…なんでディーはいっつもあんな危ない戦法なの、毎回毎回言ってるのに…」

「機体の性能が最大限に生かせる戦い方をしてんだよ」

「パイロットの安全考えたことある?」

「当たんなきゃ死なねぇよ、それに実戦でも死んでねぇだろ?」

「周りの教官とか候補生は『おいおいおい死ぬわアイツ』とか言ってたけどね…」

「実に失礼な連中だ、1発も被弾しなかったってのに」

「…私もあんな戦術はやめてほしいけど…」

「はいはい頭撫でてやるから許せ」

「ん〜…」


一応言っておくが、俺らの間柄はあくまで相棒だ。

だがなぜこんな感じかと言うと、お互いそれなりに操縦技術があったり、諸事情でまぁなんというか、簡単に言えば除け者にされている。

そうして気づけばこんな感じになっている。


「…いい加減出ないか?」


なんだかんだ1分ほど撫でている気がするのだが…


「…ん〜…うん」


納得してくれたようで、ハッチを開け、先に出て行った。


「よっこらせっと…」


俺もそれに続き、外に出た。

オイルの香りが充満し、あちこちに人が行き交っているここは、機体の家、格納庫だ。

このパイロット育成施設は、今のところ国の経費で動いている。

なんせ、今は戦時中だ、おそらく国も余裕はあまりないのだろう。

この国は資源もあり、食料自給率もあまり問題は無い。

軍事的にも優秀であり、いわゆる大国だ。

そんな国がなぜ戦争をしているのかと言うと、友好国が宣戦布告されて、こちらも黙っている訳には行かなくなった、これが簡単な解釈だ。

まぁ、政治ってのはよくわからないんで、俺もこの辺で話を終えよう。

しばらく歩き、寮の入口を抜ける。

ここの寮は男女の区別は特にない。

それぞれがちゃんと常識を持っている、持っていなければここから弾かれるだけ、そういう思想だ。


「…あん?」


俺の部屋は二階にある、その隣にシャロ部屋がある。

で、なぜ俺は声を上げたのかと言うと、その俺の部屋の前に、誰か立っていたのである。

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