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僕の愛する人  作者: 黒猫キッド
9/12

9・お泊り

 それから特に変わった事はなく、ただ日常が続いた。

 朝起きて朝食を終えると、怜奈と共に登校し、休み時間には屋上で怜奈が海斗の匂いを嗅ぐ癖がついた(怜奈曰く海斗限定の匂いフェチらしい)。

 そして学校が終わると、怜奈の家に行き、道場にてゴム弓で弓道の練習をした。それが終わると海斗は家に帰るか、速水家で夕食をご馳走になるかの日常だった。

 そんな日常を繰り返してたある日の道場で、怜奈が言った。

「ねえ海斗君。今日海斗君の家に泊まりに行っても良いかな?」

「えっ?」

 ゴム弓を引こうとした海斗の手が止まる。

「…僕は構わないけど、師範やおばさんは許可は出してるの?」

 此処は道場なので、怜奈の父親の事は師範と呼んでいる。

「うん。海斗君が良いって言ってくれたら、良いってさ」

「…じゃあ今日の練習が終わったら、家においでよ」

「うん!」

 怜奈のその日の練習は、何時もより力が入ったものになった。

 やがて今日の練習が終わり、海斗は怜奈がお泊りの準備が終わるのを、玄関で待った。其処に怜奈の母親がやって来た。

「ごめんね海斗君。ご迷惑かけちゃって」

「いえ、僕も家では一人なんで、誰かが来てくれると嬉しいです」

 そう海斗は笑顔で言った。其処に準備を終えた怜奈がやって来る。手にはカバンが握られている。

「お待たせ海斗君」

「怜奈。海斗君のご迷惑にならないでね」

「分かってるよ」

「それじゃあ、怜奈さんをお預かりします」

 そう言って、海斗と怜奈は速水家を出た。

「おじゃまします」

 斜向かいの深海家に入ると、怜奈はそう言った。

「僕以外は誰も居ないから、楽にしてて良いよ」

「じゃあ少しだけお言葉に甘えて…」

 そんな会話をしながら、リビングルームに着いた。

「僕、部屋に弓道衣置いてくるから、寛いでて良いよ」

 そう言うと海斗は、自分の部屋へと向かった。怜奈はソファーに座りながら、部屋の中を見回した。

「!」

 すると、棚の上にある一枚の写真が入った、写真立てを見つけて近づいた。其処には海斗に似た男性と若い女性、そして幼い海斗が写っていた。

 怜奈はこの男女が海斗の両親だと直ぐに分かった。怜奈は無言で手を合わせた。

「お待たせ怜奈」

 其処に海斗が戻ってきた。

「海斗君。この人達って、海斗君の両親だよね」

「…うん。そうだよ」

「お父さんの方は、海斗君に似ているね」

「そうかな…?」

 そう言いながら海斗は、何やらビザやら出前のチラシを持ってきた。

「何それ海斗君?」

「何か出前でも頼もうと思って、僕は何時も冷凍食品とかで済ましちゃってるけど、今日は怜奈が居るから…」

「そんな勿体無いよ…そうだ! ボクが作ろうか?」

「えっ、怜奈が…料理出来るの?」

「ふふん! これでもお母さんの手伝いとかで、料理した事はあるんだ!」

「でも材料が無いよ…」

「近くのスーパーにでも買いに行こうよ!」

「怜奈がそれで良いなら、僕は構わないよ」

「じゃあ行こうよ!」

「分かった」

 海斗は財布を手に取ると、怜奈と共に玄関へと向かった。


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