3・怜奈の家
ちょっと短いですわ。
「あの新しく出来た道場、怜奈の家なんだ」
「うんそうだよ…。良かったこれから遊びに来る?」
「良いの?」
「勿論だよ。ついでに道場の中も見せてあげる」
「じゃあ、ランドセル置いてくるから、ちょっと待ってて」
「うん。分かったよ」
海斗はそう告げると家の中に入っていった。
「ただいま~」
家に入るなりそう告げる海斗であったが、当然ながら返事は無い。
「……」
海斗は家の中に入ると、ダイニングルームに行き、備え付けられているソファーにランドセルを置いた。そしてそのまま家を出ようとした時、壁際の棚にある写真が目に入った。其処には海斗と海斗の両親らしき男女が写っていた。
「お父さん、お母さん。今日僕ね友達が出来たんだ…怜奈っていう女の子の友達。これからその子の家に行ってくるね」
そう言うと海斗は、怜奈が待っている為に、玄関へと向かった。
「お待たせ。待った?」
「ううん全然…それじゃ行こうか!」
怜奈に促されて海斗は怜奈の家に行くことにした。
怜奈の家である道場の前まで行くと、道場と併設される様に家が建っていた。
「玄関はこっちだよ」
怜奈は海斗を連れながら、家の方へと足を進めた。そして玄関の扉を開けた。
「ただいま~お母さん」
そう怜奈が言うと、奥から一人の女性が出て来た。その顔は何処となく怜奈に似ていた為、怜奈の母親と海斗は理解した。
「おかえり怜奈、新しい学校はどうだった…? あらその子は?」
怜奈の母親は、海斗の存在に気付いた。
「友達になった海斗君。直ぐ傍に住んでいるんだ」
怜奈にそう紹介されて、海斗は挨拶をする。
「こんにちは、斜向かいに住んでいる、深海 海斗です」
「あらそうなの! それじゃあ後でご両親にも挨拶に行かないと…」
「いやお母さん…海斗君の両親は…」
「…事故で亡くなりました…」
俯きながら海斗は言った。
「…そう…ごめんなさい…何かあったら言ってね、力になるから」
怜奈の母親も怜奈と同じ様な事を言った。
「お父さんは? 道場」
「ええ、お弟子さん達の様子をみているわ」
「そっか…じゃあ海斗君を連れて、道場に行くね」
「その前に、ランドセルを置いて来なさい」
「はーい…海斗君ちょっと待っててね」
そう言うと怜奈は、玄関近くの階段を上っていった。暫くすると怜奈は降りてきた。
「それじゃあ、道場に案内してあげる」
そう言うと怜奈は、海斗の手を引いて家の中へと入った。
何の道場なのか…。
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