2・下校と海斗の両親
『転生したドララーのオタクは』もよろしく~
下校のチャイムが鳴り響く中、大勢の生徒達が帰る準備をしている中、海斗も帰る準備をしている。その時…
「海斗君!」
其処に声を掛けてきたのは、ランドセルを背負った怜奈であった。
「怜奈…どうしたの?」
「ボクと一緒に帰らない?」
「…僕とで良いなら」
海斗はランドセルを背負いながら答えた。
「じゃあ行こう!」
怜奈は海斗の手を引きながら歩き出した。
「!!!!」
突然手を繋がれた事に、海斗は戸惑ったが、怜奈は気にせず手を繋いだまま教室を出た。
※ ※
学校を出た二人は横に並びながら、通学路を歩いた。
「ねえ海斗君」
「何…?」
「海斗君のお父さんとお母さんは、どんな仕事をしているの?」
何気なく怜奈が尋ねた。すると海斗は歩みを止めた。
「…海斗君?」
振り返ると、海斗は俯いていた。
「…何か…悪い事言った?」
怜奈が尋ねると、海斗は俯いたまま答えた。
「僕のお父さんとお母さん…死んじゃったんだ…」
「えっ…」
海斗の口から出た言葉は、怜奈には信じられないモノであった。
「一ヵ月前に事故で…僕は別の用事があったから、助かったんだけど…」
そう言うと海斗は、涙を流し始めた。
「お父さんとお母さんは…その事故で…えぐぅ…んぐぅ…」
「海斗君…」
ポロポロと涙を流し始める海斗。そんな海斗に対して怜奈は…。
ギュ…
「!?」
怜奈は優しく海斗を抱きしめてあげた。
「辛かったね海斗君…大丈夫…ボクで力になれるなら、何でもなるよ…」
「怜奈……うわぁぁぁ……」
海斗は怜奈に優しい言葉を掛けられて、人目を憚らず道で号泣した…。
※ ※
暫くして海斗は泣き止み、怜奈から離れた。
「ありがとう、落ち着いたよ」
何かが吹っ切れた様な笑顔を、海斗は怜奈に向けた。
「!!!」
その笑顔を見た瞬間、怜奈はドキリとした。
「? どうしたの怜奈?」
「な、何でもないさ」
不思議に思った海斗が尋ねるが、怜奈は誤魔化した。
「そ、そういえば、海斗君の家は何処なの?」
怜奈は逸らす為に、話題を考え尋ねた。
「えっと…すぐ其処だけど」
そう言って海斗が指を指したのは、一軒の普通の家であった。
「えっ? あそこなの?」
「うんそうだよ」
そう言うと海斗は怜奈を連れて、その家の前まで連れて行った。確かに表札には『深海』と彫られていた。
「ホラ、僕の家でしょ…それで怜奈は何処に住んでいるの?」
「えっと…あそこ…」
そう言って指さしたのは、海斗の家の斜め向かいにある、つい最近新しく出来た道場であった。
「ボクね…あそこの道場の家の子なんだ」
若干照れた様子を見せる怜奈であった。
何の道場なのか…それは次回に。
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