事実と虚構
おはようこんにちはこんばんは。
前回の投稿からあっと言う間に2週間。
いやぁ、早い。
でも、わたしの執筆は遅々として進まない・・・
困ったものです。
困りながらもようやく書きあがったIMAGINARY 2話目、
どうぞお楽しみくださいませ。
平日の午前中、さびれた商店街。
人が歩いている姿はまばらで、制服姿のわたしたちが歩いている、とさすがに少し浮いている。
わたしと蓮は、二人、あのまま学校を早退してしまっていた。
学校には居れなかった。
居たくなかった。
あの子にまた会うのが怖かった。
あの子を連れた先生に会うのがいやだった。
しかし、こうやって外に出てみると、制服でウロウロしているのも気が引ける。
学校をサボるというものは意外と罪悪感が伴うというものだったが…この場合は仕方ないと自分に言い聞かせ、蓮のとなりを一緒に歩く。
パトロール中の警官に遭遇…とかは勘弁してほしいけどね、さすがに。
それはそうと…
「ねぇ、蓮、あれ…なんだったんだと思う?」
外に出て、あの女の子から離れて、少し気持ちが落ち着いてきたんだと思う。
今朝の朝礼を思い出しながら、わたしは蓮に尋ねた。
その問いに蓮は「んーーー…」と唸り、そして軽く首をかしげながら口を開いた。
「いや、オレもよくわかんねーけど…ほとんどのヤツには見えてないみたいだったよなー。」
「うんうん、そうなんだよねー。
てことはさ、やっぱり幽霊…かな?
先生がとりつかれてるとか……?」
「うーん、おばけとか幽霊とかかなって気はするよなー、やっぱり。
でもさ、オレそういうの見えた事ねーんだよなー。
それが、あんなにハッキリ見えるもんなのか?」
「うーん…」
わたしも普通の女子高生。
オカルトは人並みに好きである。むしろ大好きである。
だから、幽霊が見えないかなと思ったことは何度もある。
ネットなどに掲載されている体験談のような不思議な体験をしたい、恐怖の体験をしたいと思ったことは何度もある。
オカルト好きが高じて、深夜の神社に行って肝試しをしてみた事はあるし、放課後の教室でこっくりさんなんて事ももちろんやった。
でも、それでも…わたしに霊が見える事はなかった。
恐怖体験に遭遇することは無かったのである。
大概、わたしに連れられて蓮も強制参加させられているが、蓮が幽霊を見たなんて話も聞いたことが無い。
だから、わたしにも蓮にも霊感なんて無いんだと思っていた。
まぁ、本当に霊感があったら、肝試しとかこっくりさんなんて出来ないのかもしれないけれど。
だから、あの子は幽霊だってのも少し安直するような気がしなくもない。
ただそれ以外の回答をしろと言われると、パッと思いつくような回答が見当たらない。
「あ、そうだ、先生に聞いてみる?」
「は…?」
「あ、だめ??」
「いや、一体なんて聞く気だよ、それ。」
「んー?」
んーと、
先生にもし見えているなら、朝の何事もないかのような朝礼はあり得ないでしょ…。
てことは、きっと先生には見えてないだろうから、その前提でまず女の子がいるって事を伝えなきゃならなくて…
シミュレーション1
直接伝えてみる!!
「先生、先生、その後ろの女の子っていったいなんですか?」
「ん?」
先生わたしが指をさす方を向き、不思議そうな顔で再度こちらを向き直る。
「んー、女の子??
何言ってるんだ、お前は。」
「いや、だから後ろに女の子が…」
「なに訳の分からない事を言ってるんだ、お前は。
それはそうと、お前、この前無断で早退したろ。」
あー…小言を言われる未来が見える…
じゃあじゃあこんなのは…
シュミレーション2
「先生、先生、
最近体調どうですかーーー?
肩が重いーとか気分がすぐれないとか…」
「あー実は少し体調わるくてなー…」
「やっぱり…!少し顔色悪いと思ったんですよねー。
でも、それ女の子に憑りつかれてるんですよ?」
「え…?」
わたしから突拍子もないことを言われ、きょとんとする先生。
「だから、先生のうしろに女の子が…」
「??
なんだかよく分からんが…一体なんの話だ?」
「いや、だから後ろに女の子が…」
って、これじゃ同じじゃん!!
実際に見えているのに、実際にそこに居るのに、それが認識できない人にはどう伝えたらいいのだろうか。
わたしの人並みの想像力でさえ、それはハッキリと実感することができた。
多分…伝えられないのだろう、と。
きっと伝わらないのだろう、と。
ソレが見えていない人にとっては、なにもないであろう今の状態が真実。
わたしたちの認識している事実を伝えても、ソレが認識できない相手にとってのソレは多分虚構でしかないのだと思う。
わたしは考えれば考える程に、ただ相手に事実を伝えるという事の難しさを感じた。
事実を伝えられないという現実に、わたしは口を噤むしかなかったのだった。
「多分、先生が自分で気付かないと無理だと思うんだ。」
わたしの心を読んだかのようなタイミングで、蓮が話し出す。
「でも、見えなきゃそれも無理だよなあ…。
霊障っていうのか?
先生が実感するくらいのコトがないとさ。」
うんうんとわたしは頷き、そして尋ねる。
「じゃあ…どうすんの??」
「どうする…
って言われると、なにか思いつくわけじゃねーんだけどさ…
とりあえず、今、霊障的なことがないかどうかだけ聞いてみっか。」
「あー、そうだねーー。
女の子が…とかは置いておいて、調子悪いことがないかーとか、身の回りに不思議なことが無いかーとか。」
「そうだなー。
でもさ、オレは正直…
正直、関わりたくないんだよ、あいつと。」
「そうだよね…。
相手がなんなのか分からないから不気味だし。
ま、まぁ、正体がハッキリわかっても不気味だけどね…。」
蓮はここまで話すと、んーーーーと唸って少し考えるようなそぶりを見せた。
「よく触らぬ神に祟りなしっていうだろ?
知らぬ存ぜぬを通せねーかな…?」
「ずっと知らないふり続けるって事…?」
明日も明後日も次も次もずーっと学校はある。
学校には行かなければならない。
担任の先生の後ろに女の子がいて、それが怖くて登校できません…。
なんて言い訳はさすがいありえない。
毎日のように、目の前に現れるあの子を無視し続けて過ごす…
断言していい。
無理。
「だよな、無理だよな。」
わたしの無言から答えを察した蓮はあっさりと言う。
そして
「じゃあ…
関わっていかないとダメだろ、オレら。」
は…?
えぇ…!?
「いやいやいやいや、意味わかんない!
さっきあんた言ってたじゃん、関わりたくないって!
さっき言ってたじゃん!知らぬ存ぜぬを通せないかって!」
「いや、言ったけど、無理だろ絶対。
3年間無視し続けるのか?
担任を?
毎日会うのに?
登校しないって選択も無理だろ?
じゃあ、こっちから解決に向かって動くしかねーだろ?」
「いや、まぁ、そう言われたらそうだけど…」
「――――――だ。」
「え?」
蓮の言葉にわたしは思わず聞き返す。
なんとなくなんて言ったかは分かったけれど、分かったうえで聞き返した。
蓮はガシガシと頭を掻きながら、言いづらそうに、だけどハッキリともう一度言った。
言ってくれた。
「…だから…大丈夫だって言ったんだよ。」
「心配いらねーの!
不安にもならなくていいし、そんな顔することもねーの!
オレが一緒に居てやるんだから、大丈夫に決まってるだろ!な?」
捲し立てるように彼は言った。
決意するように、自らに言い聞かせるように彼は言ったのだった。
「蓮…」
「だから、心配す…
「あんたはそんなキャラじゃないでしょーよ。
陰キャコミュ障のくせに、かっこつけないでよねーーー!」
「なっ、おま…」
思ってもみない事を言われ、思うように言葉が出てこなかったのだろう、パクパクと口だけ動かす蓮にわたしは言った。
「ありがとね。」
言葉に蓮は「おうっ」と片手をあげて応えた。
わたしはあの瞬間、そんなに不安そうな顔をしていただろうか。
心配そうな顔をしていたのだろうか。
ダメだなー、蓮だってきっと同じくらい不安なはずなのに。
わたしももっとしっかりしないと。
「ね、蓮、どうなるか分からないけどさ、明日はちゃんと学校行こっか。」
「あぁ、そうだな。」
ここまでお読みいただきありがとうございます。
続きを書いている間にこっちは雪が降りまして、一年で一番嫌いな季節が到来しました。
雪は幻想的でとても綺麗ですが…
なんてったってこの季節、車を運転するのが怖い!
ほんと怖いんですよ、雪の中の運転。
でも、うちは田舎で車を運転しないとどこにも行けないような場所・・・。
運転を強いられるわけですよ。
雪道の運転、ほんと怖いんですよ!!(2回目)
本編は春真っ盛りなんですけどねー。
早く春が来てほしいもんです。
ではでは、感想などなどお待ちしております。
また次の投稿をお楽しみに!まったねーーーー!