経過報告と装備の依頼
本日2話目です
という訳でエマさんの元へ。
「あら、いらっしゃい。早かったわねぇ」
「装備の性能のこともそうなんですけど、他にも相談しておきたいことができたんです」
「えぇ、いいわよ。なんでも相談してちょうだいな」
なんとも頼もしい人だ。もらった装備の性能の感想を述べ、契約モンスター達の装備の相談をする。
感想としては、装備の性能がとても良好だということを伝えた。ルフィーナのあの魔法の後に自分でも闘ってみた結果、やはりルフィーナほどの威力にはならなかったが、それでも十分すぎる程の威力を発揮できた。
実際に大量生産する際はもう少し性能を落としても問題なく売れるだろう、ということを伝えておく。
ただ女性向け装備なので、女性プレイヤー――女性冒険者の少なさを考慮すると、大量生産という訳にもいかないだろうと伝えた。
「やっぱりそうなのね。加減が分からなくて、品質も技術も全力を出して作ったけど、強すぎちゃったかしらね」
「値段と品質で上手く折り合いを付けた方がいいと思います。性能のためならばと女装する男性冒険者も現れかねませんし」
「あら、それはそれで良いのだけれど」
「……まぁ、ここら辺は作成する人が決めるべきことですし、僕からは何も言うべきではないですよね。すみません、出過ぎた真似でした」
ひとまずこの話題はやめて、契約モンスター達の装備の相談を進める。
「あら、貴方サモナーだったのね。契約モンスターの装備は既製品がないから一から作ることになるわ。高くつくわよ?」
「この装備のお陰で稼げているので、大丈夫です。特別な素材が必要なら高品質なものを自力で集めてきます」
「意気込みは十分ね。私にとっても未知の経験だから上手くいくかは分からないけれど、精一杯やらせてもらうわ」
棚から道具や素材などを持ってきたエマさんは、それらを机に置きながら、ここに契約モンスター達を出してくれればこちらで測っておくと言ってくれた。その間に冒険に行ってきて構わない、ということだろう。
「ありがたいです。じゃあ、あとはお願いします」
「任せてちょうだい」
必要な素材などはまた測定が終わってからでも良いか。
今はシンラさんを待たせている可能性があるので、今から向かいますとフレンドチャットで連絡を入れ、ギルドへと向かう。
「シンラさん」
「おっ、来たか。……ここじゃ目立つな、他の冒険者の目を感じるし、どっかの店にでも入るか?」
「そうだね」
出会った時から思ってたんだけど、シンラさんってコミュ力が高い気がする。今みたいにスムーズにお茶に誘えたりする辺りが、特に。
「手馴れてるね?」
「女には親切にって教えられてきたからつい、な。気を悪くしたならすまん」
「いやいや、全然大丈夫。とりあえず別れてからの後の話になるんだけど……」
これまでのことをザックリと話して、その過程でお肉の件の話を切り出す。
「なるほど、そういう事か……」
「お肉で得た利益の八割はシンラさん持ちになる、かな。腐らせるよりかはいいだろうし、業者さんに売るのは難しいから、その業者さんとの取り引きする値段を参照したんだけど、どうかな?」
「むしろ無料で引き取って欲しいくらいだから助かる。こっちが二割でもいいくらいだぞ? あの死体の山は殆どユキ――というかナビ妖精の貢献なわけだしな」
流石にシンラさん二割じゃ取り引きとして成り立っていない。ここは予定通りシンラさん八割でいかせてもらおう。やはりシンラさんは良い人だと感じざるを得ない。
「分かった。いや、シンラさん八割で大丈夫。僕も料理スキルの経験値稼げるし、そこまで損な話じゃないからね」
「取り引きするのはあのウシからでた食材系だけで良いか? 魔石なんかも俺には使い道ねぇな。逆に角とか骨とかあれば欲しいが」
「そっちの方は素材同士の交換でどう? 魔石は欲しい」
ウシから出た素材は種類も量も豊富なので、これはお互い確認しながら交換しないといけなさそうだ。その中でも魔石のドロップ率は低いのかあまり数がなかったので、ここで入手できるならしておきたい。
「交渉成立だな。新しいエリアに行く話だったが、俺のインベントリ容量を解決してからじゃないと厳しい。今取り引きしてもらう事は可能か?」
「勿論だよ。ウチに保管庫があるから、いまパーティー組んでもいい?」
承諾してもらって、お店の支払いを済ませて一旦外に出る。
多分パーティーを組んだままハウスに飛ぶと、パーティーメンバーもハウスに入れるはずだ。