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チャレンジしよう! 〜料理スキル〜

 さて、次は……消費期限のあるお肉の処理が先だな。こうしている間にも、刻一刻と肉系素材が腐っていってしまう。


「えっと、名前付けてあげたいけど、ドロップ品のお肉に消費期限があるらしくて、先にそっち片付けるから待っててね」


 運良くこの部屋にはキッチンがあるので、ショップで調理道具などを購入し、ウシのドロップ品の肉を調理していく。調理したものは販売が出来るので、それで金銭を得ることもできるのだ。


「料理スキル取るべきかな……。いや、自力で生やしてみようかな。素材はまさに腐るほどあるわけだし、検証がてら挑戦してみよう」


 という訳で、手を洗って早速チャレンジ。


 インベントリから肉塊を取り出し、包丁で1枚1枚ステーキの大きさにカットしていく。


 そして油でならしたフライパンを熱し、肉を豪快に焼いていく。


 塩コショウで十分に味付けし、表面全体を焼いて旨味を閉じ込めていく。


 これをひたすら繰り返していく。


 最初に焼いた肉は、料理スキル取得後に焼いた肉と食べ比べたいので、2枚目のステーキを食べてみる。


「……え、旨いじゃん」


 調味料で適当にステーキソースも作って、かけて、食べる。


 旨い。最近の仮想空間は味覚や嗅覚、食感までも再現されているものが多く、このゲームも例に漏れずそうなのだが、ここまで美味しいとは思っていなかった。


「……これ料理スキルって必要なの? あ、料理にバフがかかるわけか。なるほどね」


 いかにもゲーム的な理由だった。この味ならバフなしでもNPC相手に十分売れると思うので、料理スキルが生えてくるまでひたすら焼き、ショップに売りつけていく。


 1枚1000Gで売れるので、面白いように稼げる。


 〈料理スキルを取得しました〉


「おー、料理スキル生えた」


 売却した枚数や手元にある枚数を数え、だいたいどの程度で料理スキルが生えるのかをザックリと計算する。


 売却した枚数は82枚、手元にあるのは、とっておいた1枚目のものと、自分で食べた2枚目と、肉食・雑食の契約モンスター達にあげた、味の付いていない3枚目のステーキも合わせた、18枚。


 つまりステーキ100枚ちょうどで、料理スキルは生えたというわけだ。


 ステーキの取得経験値を1とした時に、他の複雑な料理でも1なのか、はたまた1以上の数値になるのか、それを確かめることはもう出来ないが、十分な成果だろう。


 手元にあるステーキも殆ど売り払ったので、9万G以上の稼ぎを得た。


 これにバフが付いたら今まで以上の値段で売れるし、プレイヤーの需要も得られるので、もっと稼げることになる。


「これは革命なのでは?」


 ゲーム掲示板を見たら、料理人は素材集めやらキッチンや道具の確保やらスキルコストやらで、目指している人は今のところ少ない、という情報を得た。冒険目当てでゲームを始めている人が多いので、まだあまり着目されていないのかもしれない。


 今のうちにがっぽり稼いでおこうと思う。


「でも他にもやらなきゃいけないこと沢山あるし、この残りの肉たちはどうしようかな……」


 ウシのドロップ品のお肉はまだまだ大量にある。しかしこのままインベントリに入れておくと、腐ってしまってアイテムとして使えない。


「そうだ、冷蔵庫」


 ショップのキッチン道具で冷蔵庫を検索すると、やはりあった。冷蔵庫の効果はドロップした食材系アイテムの劣化を防ぐ、というものだ。


 一番容量の大きいものが15万Gほどなので、足りないお金はお肉を焼いて売り払うことで補った。


 残ったお肉などは全て冷蔵庫へ。今回利用したのはステーキとして利用できる部位にあたるリブロースやサーロイン、肩ロース、ヒレ、ランプで、それらも余っているが、タンやスネ肉、ハラミ、バラ肉、テールなどは今回全く使っておらずそのまま残っているので、それらも全て冷蔵庫に入れたがまだまだ入りそうだ。


「あ、シンラさんのドロップ品のお肉……」


 ……一応、連絡は入れておこう。多分お肉は生のままでも業者になら売れると思うのだが、プレイヤーが業者に売るには信頼値がないと難しい(だからこそ商人を職業とするプレイヤーがいる)ので、今頃シンラさんも困っているはず。


 フレンドチャットでそのことを伝え、もし良ければ買い取らせて、と添える。あと新しい素材も欲しいから一緒に別のエリアに行かないかと誘っておく。契約モンスター達の装備も整えたいので、鉄やら布やら、何かしらいるだろう。その時はまずエマさんに相談だ。


「じゃあ、返事が来るまでに君たちの名前を考えなくちゃね」


 わーいと盛り上がる契約モンスター達。


 まずスライムは、プニマル。覚えやすく親しみのある名前がいいなと思ってそう付けた。


 次にウルフの二匹。太郎と次郎とかしか思いつかないが、さすがにそれは嫌なので、ランガとロウガと名付けた。理由はとくにないけど、語呂が良い。


 そしてフェアリーはチップ、クマにはベノア、ウシにはホルスと名付けた。


 そして最後、氷の精霊はアイス。


「名前ってむずかしいな……。もっとカッコいい名前とか可愛い名前付けてあげたいけど思いつかないや」


 そして名前を付け終わる頃にはシンラさんから返信が届いていた。


 やっぱりお肉の処理に困っていたらしい。冒険者ギルド付近で私用を済ませているので、もし他に用事がなければで構わないから連絡してくれ、との事だった。


 ならお言葉に甘えて、契約モンスター達の装備のことを、エマさんに相談しに行こう。


「インベントリは開けておきたいから、必要なもの以外は置いていこうかな」


 アイテム保管庫を1万Gほどで購入し、食材系以外のウシのドロップ品や、薬草採取の時についでに採取した素材などを全て入れておく。これでよし。


 一応、手持ちのお金もある程度持っておきたいので3万Gほどステーキで稼いで、バフが付いたステーキ肉を何枚かインベントリに入れておく。


「よしみんな、エマさんのお店に行くから一旦送還しようね〜」


 契約モンスター達は一旦送還して、必要になった時だけ呼び出そう。

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