行動計画
更新が遅くなりました。
「あ、シンラさん、リンベルくん。おかえりー」
「ただいま」
「お邪魔しますー」
見た目は手ぶらだが、時間の経過具合とそのホクホクとした表情から、素材なんかを沢山買ったのだろうなということが分かる。
シンラさんめちゃくちゃワクワクしてるな……。アイテム保管庫に、とても嬉しそうにアイテムを詰めていってる。
ふと、シンラさんとリンベルくんのやり取りになにか変化を感じた。二人で買い物に行くことで、なにか良い変化が起きたのかもしれない。
「……外出の間に何かあったの?」
あからさまに動揺された。なんだろう。いつか話してくれるといいな。
まぁそんなことはともかく、これからについて話し合おうと思う。
リンベルくんにもアイテム保管庫と、この部屋の一室をプレゼントした。
どうやらこのハウス、ゲーム内の通貨によってオプションとして色々と付け足せるらしいので、5万Gを消費してリンベルくんに一部屋、追加購入する。こうすることでリンベルくんにもハウスが登録されたことになり、個人でのハウスへのアクセスが可能になる、とのことだった。
まだまだこのゲームについては分からないことが多く、とても知的好奇心に駆られてしまう。
「なんだか申し訳ないですが、ありがたく……。今後ともよろしくお願いします」
「うん。よろしくね」
その後シンラさんとリンベルくんに料理を教えて料理スキルを獲得してもらい、作った料理を売却して得たお金を元に、各自のやりたい事を進めることにした。それぞれのやりたいことを紙に羅列していく。
「リンベルくんは教会……? 教会に何かあるの?」
「お布施システムとか、なんか色々とあるんですよね、お金の必要な場面が。もちろんお金を使用する以外にも奉仕活動などがありますが、それらの行動でより強い神の加護を得るんです。教会では孤児達のお世話なんかもありますので、僕はあまりこっちに居ることができないかもしれないです」
「えぇ、回復術士って結構シビアなんだね。このゲーム、そういうところが意外とリアリティ重視だよね」
どの程度お布施をすれば良いんだろう。回復術士じゃなくても加護がもらえるのかな……?
「ベータテスト時代に教会での奉仕活動を経験したことがありますが、意外と楽しいですよ。特に孤児達のお世話は、僕がリアルでは保育学生なので、いい練習相手ですね」
「あっ、ほんと!? 僕もなろうと思ってるんだよ、保育学生!」
まさか、こんな偶然があるとは。
というかリンベルくん、歳上だったのか……!
あぁ、フレンド登録した時に確認しておくべきだったな……。ついうっかり。
「じゃあ僕が先輩ってことになるんですかね? うわぁ、なんだかすごい偶然ですね! 勉強で困ったことがあったらなんでも聞いてくださいね! 面接の練習も!」
「ほんと!? ありがとう! とっても助かる〜!」
あ、シンラさんが話に着いてこれていない……。
いやぁ、にしてもまさかリンベルくんと目指している将来が一緒だとは。世間は狭いなぁ。
さて、シンラさんが手持ち無沙汰になってしまっているので、そろそろ話題を振らないと。
「僕はこの後、エマさんのところに契約モンスター達を受け取りに行くのと、ついでに素材を集めてこようかなって思ってるんだけど、シンラさんは?」
「あぁ、武器防具を作ったりして生産活動をしようかと思っていたが、コイツがレベリングに付き合って欲しいらしくてな」
「コイツが無理を言ってすみませんね。えぇ、ほんと」
なんだそれは、嫌味かよ、とシンラさんはボヤいている。
「あー、そうなんだ。分かった。……それなら、素材集める時に一緒に、ってのはどう?」
「いいと思います。あっ、シンラさんも生産活動の方が良ければそちらを優先して頂いて構いませんので」
「……いや、俺も行こう。お前とユキだけで出歩かせるのは心配だ」
「それはいったいどういう意味でしょうかねぇ」
見つめ合って?睨み合って?いる二人。どうやら僕がいない間に随分と距離が縮まっているらしい。なんだかジェラシー。
「じゃあ、リンベルくんは教会での用事が終わったらここで待機、って形でも大丈夫かな? シンラさんは僕らが戻ってくるまで生産活動、僕は契約モンスターの受け取り、って形で」
「了解です。では行ってきますね」
「僕も行ってくる。シンラさん留守番よろしくね〜」
「あぁ。気をつけてな」
そんなわけで、僕らはそれぞれの用事を済ませるためにそれぞれ行動したのだった。
学校再開や課題などでまとまった時間が取れず、今後も安定して更新することが難しいかと思われますが、これからもめげずに頑張っていきますので今後とも本作をよろしくお願いします。




