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コツミール湿原②

本日2話目です

 そんな雑談を挟みつつも、襲いかかってくるモンスター達を倒していく。


「結構な数を狩ったね」


「あぁ。クエストも全部クリアできたし、鉱石系素材もしっかり手に入った」


 インベントリの容量もそろそろ怪しくなってきた。そろそろ引き返してもいいかもしれない。


「そろそろ戻ろっか――シンラさん! 後ろ!!」


「なッ、フィールドボスか!!」


 慌てて距離を取るシンラさん。距離的に近いシンラさんへのヘイトをこちらに向けたいので、威力の高い魔法を何発か放つ。


「よしよし、こっち来た――って怖いぃ!?!?」


 フィールドボスとはエリアに1〜3体ほど現れる特別なモンスターのことで、このコツミール湿原のフィールドボスはカエルのような見た目をしており、なんとも禍々しいオーラを醸し出している。


「〈ウォーター バリア〉……〈アイス シールド〉ッ!」


 流石はボスというべきか、魔法で生成したバリアの耐久値がどんどん削れていっている。


「〈パワー スラッシュ〉ッ! 何としてでも倒すぞ! 死んだらこれまでの素材が全部無くなる!!」


「分かった! 〈ホーリー ライトニング〉──」


 再使用可能になった魔法から順に打っていく。MPが目に見えて減っていくが、それを気にする余裕すらない。


 カエルの攻撃は毒の粘液を飛ばしてきたり、長いベロを直線上に突き出してきたりと、予備動作をしっかりと見極めればまだ回避が可能な攻撃なので、上手く交わしながらもダメージを与え続ける、


「〈プロテクトヒール〉っ!」


 回復魔法の一つ、味方を回復し防御バフを与える魔法をシンラさんに掛ける。シンラさんは近接戦闘なので毒を喰らいやすく、HPが目に見えて減っている。ポーションでカバーしきれない分や即座に回復が必要な場合には、僕の回復魔法でなんとか対応している。


「右、いや左か! ユキ、後ろから狙ってくれ!」


 連射の効く〈ホーリー ランス〉をカエルの背中目掛けて放ち、ダメージを与える。どうやらシンラさんの視点ではベロ攻撃の予備動作に入っていたらしく、その攻撃のキャンセルに成功したようだ。


「――ユキッ!!!」


 しかし、カエルのHPも残り僅かとなって油断してしまったのか、僕はカエルの毒をまともに喰らってしまった。


 しかも低確率で発症する麻痺状態になってしまったので、自力で動くことができない。回復魔法もポーションも使えない。


 シンラさんとの距離も離れているので、シンラさんからポーションによって回復させることもできない。


 これは絶対絶命だ……。なんとか麻痺が回復してくれないだろうか。しかしフィールドボスお手製の麻痺状態は強力で、中々回復してくれない。


 その時、どうやら誰かが駆けつけてくれたらしい。神官の姿をした少年が回復魔法のスキルを発動し、僕の麻痺状態とHPを全て回復してくれた。


「大丈夫ですか!? よろしければ僕も一緒に闘いますよ!」


「助かりました! ぜひお願いします! えぇと、まずはあそこにいるシンラさん――男の人の回復をお願いできますか!?」


「はい、もちろんです! パーティー申請送っておきましたので、承認お願いします!」


 ―リンベルよりパーティーへの加入申請が届きました―


 これか。承認のボタンを押す。


 リンベルという神官くんがシンラさんを回復している間、カエルのヘイトは僕が稼いでおかなくちゃならない。


「〈アイシクル レイン〉──ッ!!」


 レベルが上がることで使用可能になった、あのルフィーナの使っていた氷魔法のスキルをカエル目掛けて放つ。


 やはりルフィーナ程の威力にはならないのだが、それでもカエルに多大なダメージを与えたり、凍結の状態異常を与えたりと、素晴らしい威力を発揮している。


 凍結している間に、全回復した三人でタコ殴りにし、倒れるギリギリのところで凍結は解除されてしまったが、なんとか倒すことができた。


 ―コツミール湿原フィールドボス[猛毒巨大蛙]が討伐されました―

 ―第二湿原エリアが解放されます―

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