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ネトゲ女  作者: kaji
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第六十五話「クールフラワーと俺」

 俺は寝転びながらクールフラワーをなぜ忘れていたことを思い出そうとしていた。俺はいくら考えても思い出さなかった。俺はクールフラワーと出会った時から思い返すことにした。そうすることによって俺の記憶の欠落が埋められるのでは無いかと思ったからだ。  


  

 クールフラワーとの出会いは確かあれはゴールデンバットの野良狩りパーティーの待ちパーティーで会った気がする。ゴールデンバットの野良パーティーは牧師1人、支援2人、火力4人のパーティーでレベル90~110位のレベル帯のキャラクターが集まる狩場で大概同じ時間帯には同じようなメンバーが集まるので自然と仲良くなることが多い。みんな待ちパーティーでは暇しているので話す相手を欲しているのだ。中には画面から離れているものもいるが俺は暇つぶしに適当な人間と話をすることが多かった。その中で一番気が合ったのはクールフラワーだった。最初話しかけたのは別に理由が無い。ただ待ちの順番が俺の一つ前だっただけだ。俺が始め話しかけた時は驚いていたが俺が適当に話題を振っているうちに俺が最近ハマっていた音ゲーの話題に興味を持ったらしくそれで順番が来るまで話し込んだ。俺がエキストラモードをパーフェクトでクリアできると言ったらかなり驚いていた。



 その頃はファンタジークエストも出来立てでチーム数も運営の方で制限されていたのでチーム数自体があまり多くなかった。それでチーム間の交流がよくあった。クールフラワーと知り合ったから分かったのだが俺は彼女のチームとは何度か対戦しているようだ。今は無期限の休止中のタリアがマスターをしていたチームだ。名前は確か、英語の何だか長ったらしい名前だったので俺はその時点で覚えるのを放棄していたので覚えていない。ただクールフラワーが所属しているチームだという覚え方をしていた。

その後でマスターのタリアを紹介された。タリアはその頃は大人しかったので紹介はされたがそれ以上の交流は無かった。俺もなぜか苦手に思っていたので積極的な交流はしなかった。俺もその代わりに俺の所属しているマスターの限りなく青い空こと青空を紹介した。今考えるとそれがよくなかったのかも知れない。



 その頃あたりから青空の様子がおかしくなっていた。やたらと勝ちにこだわるようになってきたのだ。俺ともよく衝突するようになった。どうも前から感じてはいるが根本的な所で青空とは意見が合わないようだ。俺は基本まったりと勝ちに拘らずに楽しくやりたいので意見が合う訳が無いのだ。俺はそろそろ潮時だなと思っていた。このまま青空とぶつかり続けるよりは俺は自分の新たなチームでも作ってまったりと過ごそうかなと思っていた。



 ある日、最近定例化していたBSRとタリアのチームとの試合後の両チームの反省会というか雑談ときにクールフラワーが超の付くほどのレアアイテムを拾ったという話を聞いた。当時は珍しかった弓師専用のダメージ付きの速度腕輪だ。みんなで祝福して俺もアイテムを見せてもらった。当時は値段が付けられない程のレアアイテムだったのでみんなうらやまがった。青空は執拗にクールフラワーに売ってくれと頼んでいたがクールフラワーは売る気は無いようで断っていた。



 俺はその頃はもう新しいチーム作りの足固めをしていた。仲の良い何人かに声をかけて一緒にやっていこうとしていた。俺に付いてくるというその頃、このゲームを始めたばかりのねこねここねこと俺のリア友の惨劇のクマさんと他の何人かと新チームを作ろうとしていた。その後くらいから俺はあまりBSRには行かなくなっていた。マスターの青空も俺のことは最近うっとおしいと思っているだろうから俺が来なくなっても別に文句は言って来なかった。



 その後、青空にBSRの何人かで新チームを作るので抜けさせてもらうことを青空に告げたが彼は別に驚きはしなかった。おそらくこうなることは青空も分かっていたのだろう。「せいぜい頑張れよ」というありがたい励ましのお言葉を頂いて晴れてBSRから抜けることができた。俺が連れて行くメンバーも当時はBSRの戦力になっていない低レベル帯のキャラが多かったので青空としては別に問題は無いだろうし、俺が抜けて良かったと思っているはずなので文句も言われなかった。俺は青空とこれ以上付き合わずに済むので開放感でいっぱいだった。これからの気に合うメンバーとのチームの活動を思い、期待でいっぱいだった。その少し後にクールフラワーにあんなことが起こっているとは知らずに。



 俺はその次の日、クールフラワーに明日の夜大事な話があるからと呼び出していた。新しいチームのメンバーに誘おうと思っていたからだ。一応マスターのタリアにも新チームを作るのでクールフラワーが欲しいという打診を前から少し話はしていのだ。今回は正式なオファーになるのだがタリアは彼女が決めることだからと至ってクールだった。俺はサブでもいいから借りるという話をしてタリアの前から立ち去った。そういえば当時はタリアが苦手だったことを思い出した。何だか人を寄せ付けない雰囲気があって俺は話しづらいやつだなと思っていたのだ。今は仲がいいのが不思議なくらいだ。たぶん愛華がいるからだろう。彼女がうまく緩衝材的な役目をしているので俺も仲良くなれたんだと思う。


 まあそれはいいとしてその日、約束したのに来なかったクールフラワーは来なかった。俺は深夜まで待っていたがいつまでたっても来なかった。あいつにしては珍しいなと思っていたがまあ後でアイテムでも奢ってもらえばいいやと思っていた。俺はその点で寛大な男なのだ。



 俺は次の日、どうクールフラワーをからかってやろうと待っていたが次の日もその日もクールフラワーがインすることはなかった。かなり後に人づてにクールフラワーは引退したと聞いた。何かトラブルがあって引退したらしい。俺は何も聞かされていなかった。裏切られたと思った。俺はクールフラワーが引退したという事実よりトラブルあったのに相談されなかったこと、俺に何も言わずに引退したことに腹が立っていた。俺は今もガキだがその当時はよっぽどのガキだったからクールフラワーの気持ちなど少しも考えてはいなかった。それで俺の中でクールフラワーはどうでもいいやつだと決めて忘れることにしたのだ。そうだ。自分の中で仲がいいと思っていたクールフラワーがいなくなった事実を受け止めたくなくて忘れることにしたのだ。


「思い出したぞ!」


俺は思わずベッドから飛び上がった。


「何を思い出したんですか? 先輩」

「え?」


俺の目の前に誰かがいた。デスクトップのパソコンでゲームをしている誰か。一瞬里見が帰ってきたのかと思った。

ご拝読ありがとうございます。

 久しぶりの投稿になります。最近期間が空いてしまいますが完結するまで書きますのでよろしくお願いします。不自然な改行になっていますが今回は地の文が多いのでそのまま載せてみたら字が固まり過ぎて読みづらそうだったのでこういった形にしてみました。

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