表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ネトゲ女  作者: kaji
61/70

第六十一話「クールフラワーの正体」


 次の日の放課後からクールフラワーが来るまでタリアと張り込みをすることにした。タリアと相談して一応、学校もあるので12時が限度とすることにした。今までのクールフラワーの目撃情報などの傾向から考えると深夜までインしてくることは無いと思うのでこれで十分だと思う。

 俺はどこでもよかったが最近のお気に入りの王都の橋の上でタリアと話ながら待つことにした。こうして会話しながら周りを見てみるとすごい人数の人達がインしている。この全てのキャラは人が実際に操作していると思うと妙にやりきれないような気持ちにもなってくる。お前らこんな夜中に何やってやがるんだ。もっと健全に遊べよと言いたくなる。人の事は言えないが。

 現在のネットゲーム参加者は500万人くらいだと言われている。全体的には10代から20代くらいが中心のようだが前に小学生にもあったことがそれも何だかなあと思う。さすがに小学生くらいの年はネットゲームなどやるものでは無いと思う。自分の持論だが10代終盤か20代くらいベストじゃないかと思う。実際そのくらいの年代が多いんじゃないかと思う。大概10代後半か20代前半で初めて、20代中盤くらいで大概の人が離れていく。理由はやはり社会人になったり結婚したりすると絶対的に時間が足りなくなる。膨大な時間を浪費するネットゲームをやる時間はなかなか取りにくくなると思う。

 俺の小学生の時はネットゲーム自体が無かった。ゲーム自体はあったがよく友達の家に集まってわいわい遊んだりしたものだ。まあやっていることは変わらないのかも知れない。ただ直接集まらないで間接的に(ネットを通して)ゲームをしているということなのだ。友達の家に集まらなくても友達とゲームができるようなったそれだけのことなのかもしれない。

 まあ俺はゲームだけでは無く野球をしたりかくれんぼをしたりなど外でもよく遊んだものだけど。今は色々選択肢が広いしゲーム自体が進化し面白くなってきているから仕方が無いのかも知れないが。

 そういえばタリアはどうなのだろうか。俺はタリアとはリアルでは同じ学校に通っているが実はこいつのことはよく知らない。まあリアルのことを聞くのはちょっとしたタブーみたいなところもあるからいいのかも知れない。あまり深く突っ込んでしまうとゲーム自体が楽しめなくなってしまうおそれがあるからだ。ただそれなりに仲良くやっているのにそれも寂しいのかも知れない。タリアのことで知っていることはアイカのリア友でゲームが好きとかその程度のことしか知らない。



ケミカルパンク タリア。学校はどうだ。


タリア なんだ? 気持ち悪いな。



思わず、夕食時のお父さん的な会話になってしまった。



ケミカルパンク いや。急に気になってな。最近リアルで顔を合わせることも殆どないからさ。


タリア よく分からないが。別によくも悪くも無い。リアルなどそんなものだろう。


ケミカルパンク まあ。そうだけどよ……。そうだ! 今度、アイカと一緒にでもいいからオフラインで遊ぼうぜ。ゲームセンターにでも行ってよ。たまには実機で遊ぶのも面白いぞ。


タリア ……。何を企んでいるんですか? 


ケミカルパンク 企んで何てないさあ。そういうのもたまにはいいかと思って。


タリア ……。まあ別にいいですけど。



そんなに俺がリアルで遊ぼうと言うと何かを企んでいるように聞こえるのだろうか。非常に失礼なやつだ。結局この日、クールフラワーは現れなかった。


 次の日、学校が終わると内藤くんのRTSの誘いも西園寺の生徒会の手伝いの要請も無視して一目散に自分のアパートに帰った。最近内藤くんは外国産のRTS(リアルタイムストラテジー)にはまっているらしく俺にもやれやれとしつこいのだ。前に一度見せてもらったがなかなか面白そうだったので後で暇があったらやろうかと思う。西園寺はどうでもいい。

 アパートに帰ると早速パソコンを起動させてファンタジークエストにインした。今日も王都の橋でぼんやりと座ってクールフラワーを待った。しばらく待つとタリアもインして来たので昨日と同じく二人でクールフラワーを待った。



ケミカルパンク なあ。本当にクールフラワーならどうするつもりなんだ。


タリア どうするって。どうもしませんよ。


ケミカルパンク まあ。なあ。


タリア 彼女は元々被害者ですから。私はできるならまた一緒に遊びたいだけです。


ケミカルパンク だよな。ただだったら何で俺たちに声かけて来ないんだ。俺たちがいるってことはあいつも分かっていると思うけどもよ。


タリア さあ? 私に聞かれても分かりません。だいたいそれを今確かめるために今ここにいるんでは無いですか。


ケミカルパンク ああ。そうだったな。む。来た……来たぞ!


タリア え?


 来た。最近出現頻度が高かったのでそろそろ来るかも知れないと思ったがやはり来た。さすがの俺も興奮を隠しきれなかった。俺は当初の作戦通りにタリアにメッセージを送らせてどういう反応をするか判断することにした。タリアの話だと本当にクールフラワーなら絶対に返信してくれるらしい。返信が無い場合はクールフラワー本人では無いとのことだ。



ケミカルパンク タリア! 来たぞ。早速メッセージを送れ。


タリア ……。


ケミカルパンク おい! どうした? 送ったか?


ケミカルパンク おい! 何か言えよ。


タリア ちょ。ちょっと待ってください。



10分程待ったがタリアから送ったという発言は無い。いったいどうしたのだろうか。



ケミカルパンク どうした? さっさとメッセージを送れよ。ログアウトするかも知れないだろう。


タリア わ。分かっていますよ。


ケミカルパンク お前。まさか怖いのか。


タリア そ。そんなはずはありません。本人なら必ず返信してくれます。私と彼女は親友ですから。


ケミカルパンク そうか。そうならいいが。



たぶんだがさすがのタリアでもいくら前は仲良く付き合っていたとしてもしばらく会っていないのでクールフラワー本人だとしても無視されるかもという思いがあるのかも知れない。この間、俺もクールフラワーにメッセージを送ったが大分「メッセージを送りますか?」「はい」のボタンを押すのに躊躇した。きっとタリアも発言の文を打ち込んではこれではダメだとか消したり打ち込んだりしているかも知れない。俺はタリアのことを考えてしばらく黙っていることにした。

 それから更に10分後くらいにタリアから送ったという発言があった。



タリア 送りました。


ケミカルパンク 了解。後は待つだけだな。


タリア で。ですね。



10分待ったがタリアから発言がない。



ケミカルパンク 来たか?


タリア いえ。まだです。



更に10分後。



ケミカルパンク 来たか?


タリア 来ませんね。一応もう一度送ってみます。



 結局返信はいつまで待っても来なかった。インしている様子はあるのだが十二時を回ったので来なかったのでお開きになった。タリアはこの結果に対してあれはクールフラワーではないと言い切った。クールフラワーならば私に返信をしないはずは無いと。

 それにしては赤の他人でも「どなたですか?」とか返信くらいはしてもいいのだと思うがどうなのだろうか。直接会って確認すればいいのだがタリアからも俺からもその選択肢は出てこなかった。本当の所、クールフラワーに会うのは怖かったのかも知れない。結局、解決せずに胸の中がもやもやした状態でこの件にしてはうやむやに終わってしまった。


ご拝読ありがとうございます。

 最近更新が遅くなっていますが書き続けますのでよろしくお願いします。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ