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ネトゲ女  作者: kaji
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第六十話「クールフラワーの影」


 地下迷宮探索が終わった次の日の夕方。俺は何とか大きなイベントの一つが終わったと思い、安堵していた。ただまだやることはある。ファイナルトーナメントは前回大会の成績が考慮され、予選トーナメントは免除で予選リーグからのスタートだがそれまでに出場メンバーを絞り込んで行かなければならないのだ。これから練習試合などを組もうかと思っているのだがとりあえず今日は一休みだと自分を納得させて露店巡りをすることにした。

 俺が最近贔屓にしている露店の場所は王都だ。王都のマップ自体が新しいのだが、以前はそれほどではなかったが最近になって急に王都に活気がでてきたのだ。理由はよくわかっていないが理由の一つとしてファンタジークエスト最大の大所帯のBSRが本拠地としているということが理由であるとの噂がある。

 『BSR』は今回のファイナルトーナメントでは我々と同じく予選トーナメントは免除となっているがマスターの限りなく青い空が『BSR2』というBSRの二軍チームを作って予選トーナメントを荒らしている。そのおかげでかなりのチームが『BSR2』に吸収され『BSR』と『BSR2』と合わせるとかなりの大所帯となっていた。青空がFQ会議で発言した古参五チームだけでいいという案が今実現しようとしているのだ。これは何がなんでも止めなければならない。

 俺はそんなことを考えながらフラフラと当てもなく露店巡りをしていた。かなりの数の露店があるがゴミを売っているものやレアなアイテムを売っているものなどさまざまだった。俺としては目に止まるような掘り出し物も無かったので俺は早々に飽きてしまった。   

 そこで誰かインしていないか友人登録している連中の一覧画面を出して遊んでくれそうな奴を探してみた。インしていれば名前が光る仕様になっているので非常に分かりやすい。ただ今日に限って珍しく誰もいなかった。大概はクマさんとかアイカやタリアなど誰かしらインしているのでからかって遊ぶなり、狩りに付きあわせたりするのだが相手をしてくれそうな人は誰もいなそうだったので俺は友達一覧の画面を上へ下へと何度も上下していた。そうしているうちに珍しい名前が光っていた。


『クールフラワー』


思っても見なかった人物の名前が光ったので思わず見返してみた。やはり確実にこのゲームにインしている。しかも俺もいるこの王都にいるのだ。もしかしたら何かの間違いでクールフラワーの名前が光っているのかも知れない。このゲームはそういうことがよくあるので俺はしばらくクールフラワーの名前を眺めていた。しばらく眺めていると次第に名前が消えていった。確かめようとすればすぐ分かるのだが思っても見なかった名前が光ったので俺は少々混乱していたのかも知れない。黙って眺めるだけで行動に移せなかった。

 次の日、一人でソロ狩りして小休憩しているところで俺は妙な胸騒ぎを感じて再び、友人登録一覧の画面を出して見た。今日もクールフラワーの名前は光っている。


「これは……いるのかあいつは」


 思わず俺は液晶画面に向かって呟いていた。俺はクールフラワーに向かって秘密会話でメッセージを送ってみることにした。悩んでも仕方が無い。こうすればはっきりする。俺は短い文章に時間をかけて作って送ることにしたがなかなかオーケーボタンが押せない。俺は柄にも無く緊張していた。俺としてはこのクールフラワーは別人だと思っているのだがもしかしたら本当にクールフラワーだったらどうするか。そんな想いが頭の中に渦巻いていた。俺はそれでも何とかオーケーボタンをクリックしてメッセージを送った。


「こいつは……クールフラワーなのか……」


 しかし、しばらく待っても返信は来ることはなかった。深夜の十二時を回ったので俺はいつでもメッセージを受け取ることができるようにインしっぱなしで寝ることにした。

 次の日の朝、起きて早速パソコンを見てみたが返信は無かった。やはりクールフラワーでは無かったのだろうか。俺は気になったのでタリアに相談することにした。

 メールを打って良子ちゃんと学校の屋上で会うことにした。


「クールフラワーの亡霊を見たんだ」


 俺は今までの経緯を良子ちゃんに簡単に説明した。良子ちゃんは黙って俺の話を聞いて、俺の話が終わるとしばらく目を瞑って黙って考えていた。


「気のせい……だと思うよ」

「たぶん違うかも知れないが妙な胸騒ぎがするというか気になるんだよ」

「クールフラワーのIDは失われていませんが……彼女がもどってくるはずは……ありません。それは先輩が一番知っているんじゃ……」

「じゃああれは誰なんだ」

「分かりません……確かめて見ますか。少し気になることも……ありますし」

「確かめる?」

「今日から張り込みを……しましょう。最近インしているのなら……必ずもう一度インしてくるはずです。そして私がメッセージを送ってみます。本当に彼女なら必ず返信してくれるはずです」

「そうか。じゃあやってみるか」


 リアルの良子ちゃんにしてはかなり自信満々だったので俺はその作戦に乗ることにした。果たして本当にクールフラワーなのか。本当にクールフラワーだったら俺はどうしようと言うのか俺の中ではもう終わったことなのに……。そんなことを思いながら今日から張り込みを開始することにした。


ご拝読ありがとうございます。

 久しぶりの更新です。やっとそろそろ本編に入れそうなので安堵しています。最近更新が滞っていますがよろしくお願いします。

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