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ネトゲ女  作者: kaji
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第五十三話「FQ会議」


 タリアは俺とのペア狩りの時に前回の定例のFQ会議の話をした。出席者はBSRの限りなく青い空を始めとしてファンタジークエストの主要チームのマスター十人ほどが集まった。いつも出席者はまちまちで月によって多かったり少なかったりするのだがだいたいが十人程らしい。そこでFQ会議の代表青空がこんなことを言い始めたらしいのだ。



タリア 頼む。私に力を貸して。


ケミカルパンク どういうことだ。意味がわからない順序を追って発言してくれ。


タリア あのね……。


タリア この前定例の有識者会議があったのよ。


ケミカルパンク まだやっていたのか。あれ。


タリア 黙って聞いていて! その中でBSRのマスターの青空がね。『チーム数が多すぎる元あった古参の五チームだけでいい』なんて言い出したの。


ケミカルパンク はあ。それで?


タリア 『量の増加は質の低下につながる。振り分けるためリーグ戦を開催したい。負けたチームは即

解散して吸収、最後の五チームで誰が一番か。決めたい』なんて言い出したのよ!


ケミカルパンク まあやつがそんなことを言い出すのは今に始まったことじゃないだろ。どうせ。そんなこと通らないんだし。


タリア 甘いわね。パンク。甘々よ。


ケミカルパンク まさか通ったのか。それが。


タリア 私は反対したんだけど。賛成多数で可決したわ。それを運営に通報したし。


ケミカルパンク 嘘だろ。なんでそんな案が通る。最近のFQ会議はどうかしているだろ。


タリア もう完全に青空が実権を握っているのよ。反対しているのは私を含めて僅かだけ。投票になっ

たら確実に負ける。


ケミカルパンク 噂は本当だったのか。


タリア 噂? うん。その噂はたぶん本当。



 青空はBSRチーム全体で課金アイテムを大量に買い、運営にかなり協力していることから落ち目になっている運営側も彼の発言に無視出来なくなっていた。また噂では青空がリアルで運営の会社の株式の三分の二を保有しているという本当なのか嘘なのか分からない話もある。



ケミカルパンク それで運営はまさか乗ってこないよ……な?


タリア ……。


ケミカルパンク まじかよ。


タリア 運営も何か起爆剤的なイベントが欲しかったのか知らないけどチームの生き残りをかけたリーグ戦が開始されることになった。


ケミカルパンク 今日はその話だったのか……。


タリア うん。それで頼みがある。


ケミカルパンク 珍しいな。まあ聞くだけ聞いてやる。言ってみろ。



 俺はものすごく嫌な気配を感じたがとりあえず聞いてやることにした。



タリア 頼む。私に力を貸して。私今度こそ青空を倒したいの!


ケミカルパンク ……。


タリア 頼む。力を貸して。



 俺は昨日のその話には即答できなかった。何よりも前ほどファンタジークエストに対して情熱を失っていたからだ。とりあえずその場を考えさせてくれと結論を保留して逃げることにした。

 そして、場面は今日の屋上に戻る。


「昨日の話か。まだ考えが纏まっていないんだ。もうちょっと待ってくれ」

「早く……して欲しい」


 良子ちゃんは眼鏡の奥から訴えかけるような目をした。昔なら即答でオーケーしたのだが今はどうも乗りきれない。


「私、今度こそは……どうしても勝ちたい。前回はメインキャラじゃなかった。それがどうしても歯がゆくて……悔しかった。今度はメインキャラでBSRに挑戦したい……ゴホゴホ」


普段そんなに喋らないのに一気に喋ったので良子ちゃんはむせていた。


「お願い。力を貸して……欲しい」


 ネット上とは違い、良子ちゃんは控えめだったがこれだけメンバー集めに固執しているので余程BSRに勝ちたいらしい。彼女の中ではクールフラワーのことは終わってないようだ。もうあんなこと忘れればいいのに。


「考えさせてくれ」

「なんで? 先輩はこの前みたいにやれば絶対に勝てる。私やっぱり思った。パンクは絶対にプレイヤースキルがある。パンクじゃなきゃだめなの」


なんか変な誤解してしまいそうだがゲームの話だ。


「悪い。すぐには返事できない」


返事だけ切り取るとちょっとかっこいい返事だがしつこいけれどもゲームの話だ。


「そう。いい答え期待してる……から」


 正直俺は、昔のようなやる気を失っていた。なぜだろうか。里見がいなくなったからだろうか。この時は考えておくとは言っていたが内心は全くタリアの提案は全く乗り気では無かった。


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